団地②
記事投稿日2014年12月09日火曜日
投稿者:一般社団法人エースマンション管理士協会 カテゴリー: General
3 団地共用部分
2で見た区分所有法66条は、団地について規約共用部分の規定を
準用する規定はない。したがって、団地においては規約共用部分とい
うことはない。
しかし、団地所有者が共用する建物は必要であり、団地共用部分を
定めているのが、区分所有法67条である。
① そこで、一団地内の附属施設たる「建物」(第一条に規定する建物
の部分を含む。)は、「団地規約」により団地共用部分とすることがで
きる。例えば、団地の附属施設としての集会所や管理棟が団地共用
部分として考えられる。また、団地内の区分所有建物の専有部分(管
理室・管理人室)を団地共用部分とすることができる(区分所有法67
条1項)。
〇 団地共用部分とすることができるのは、「建物」であり、建物ではない
施設は団地共用部分とすることができない。また、団地共用部分とする
ことができるのは、「団地所有者全員の共有に属する建物」でなければ
ならない。団地所有者の一部の者の共有に属する建物は、団地共用部
分とすることはできない。つまり、団地においては、一部団地共用部分
は認められない。
② 団地規約で団地共用部分と定めた場合、その旨の登記をしなけれ
ば、これをもって第三者に対抗することができない(区分所有法67条
1項ただし書)。
③ 団地共用部分の持分は、規約に別段の定めがない限り、建物(戸
建ての場合)又は専有部分(マンションの場合)の床面積の割合によ
る(区分所有法67条3項、14条1項、4項)。
④ 一団地内の数棟の建物の全部を所有する者は、公正証書により、
前項の規約を設定することができる。つまり、団地の分譲業者が分
譲前に団地共用部分の定めを公正証書により作成できるとした。
4 団地規約の設定の特例
① 団地内の土地又は附属施設が団地建物所有者の共有に属す
る場合、共有者全員で、その団地内の土地、附属施設及び専有
部分のある建物の管理を行うための団体を構成する(区分所有
法65条)。そして、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置く
ことができる(区分所有法65条による準用)。
一般的に団地の規約の設定、変更又は廃止は、団地建物所有
者及び議決権の各4分の3以上の多数による団地の集会の決が
必要である。
② 区分所有法68条1項は、「団地建物所有者の一部に属する物に
ついて」、団地で管理できる場合について定めた。本来なら、これを
共有する者(棟)単位で管理すべきであるが、一定の手続きを経て
団地規約を定めて、団地で管理できることにしたわけである。
第一に、当該団地内の一部の建物の所有者(専有部分のある建
物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土
地又は附属施設(専有部分のある建物以外の建物の所有者のみ
の共有に属するものを除く。)(区分所有法68条1項1号)。例えば、
10棟からなる団地で、5棟ずつに分けて敷地が区分されており、そ
の間に10棟全員の共有に属する通路がある場合、その通路を核
として10棟全員の団地が成立する。このような場合、団地規約で
敷地全体を管理できることになる。駐車施設等が、一部の団地所
有者の共有に属している場合等も同じように団地規約で敷地全体
を管理できることになる。
ただし、土地又は附属施設が戸建て建物の所有者のみの共有に
属している場合は除かれるとされている。次の第二で述べるように、
戸建て建物については、団地管理組合で管理できないので、戸建
て建物の共有に属する土地(敷地)や附属施設についても団地の
管理から除外したのである。
第二に、当該団地内の専有部分のある建物である(区分所有法
68条1項2号)。
これは区分所有建物であり、本来なら、各棟の区分所有者がこ
れを管理すべきものであることは、言うまでもない。しかし、団地に
おいては、団地全体で統一的な管理をすることが必要であり、合
理的である場合があるので、このような規約の制定を定めたので
ある。
なお、戸建て建物は入っていないから、戸建て建物を団地の管
理とすることはできない。
〇 マンションの管理の適正化の推進に関する法律は、マンションの
適正な管理をするために定められた。そして、マンションの定義とし
て、①「二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供す
る専有部分」のあるもの(区分建物)並びにその②敷地及び③附属
施設をマンションとしている。
さらに、団地の場合、団地建物所有者(区分建物と戸建て建物)
の共有に属する①土地又は②附属施設もマンションであるが、団
地内の「戸建て建物」はマンションではないとされている(同法2条
1号イ、ロ)。
これは、区分所有法上、団地内の戸建て建物については、団地
の管理の目的とすることができないとされているから(つまり、その
管理はあくまで、戸建て建物の所有者が行うから)、適正化法にお
いても、マンションの定義から外しているのである。
③ 特例の団地規約設定手続
一般的な規約設定決議があった上で(2の④、4の①参照)、
以下の要件が必要である。
第一の土地又は附属施設にあっては当該土地の全部又は
附属施設の全部につきそれぞれ共有者の4分の3以上でその
持分の4分の3以上を有するものの同意が必要である。つまり、
団地全体集会の決議で、4分の3以上の決議があったとしても、
さらに、附属施設を共有する共有者・持分の4分の3以上の賛
成があったかどうかを調べる必要があるわけである。
第二の場合、その全部(全ての棟)につきそれぞれ集会にお
ける区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による決
議があることを要する。1棟でも決議がなければ、団地管理組
合で棟を管理することはできない。
なお、建物の一部共用部分に関する事項で区分所有者全員
の利害に関係しないものについては、一部共用部分を共用す
べき区分所有者の4分の1を超える者又はその議決権の4分
の1を超える議決権を有する者が反対したときは、議決権は成
立しない(区分所有法68条2項)。
第二の場合、この全ての棟の決議と団地管理規約の制定決
議があって、はじめて効力が生ずる。
〇 一団地内では、団地単位で管理するか、棟単位で管理するかは、
どちらかを決定すべきであって、ある部分は棟単位で管理、ある部
分は団地単位で管理、と選択することは認められないと解されてい
る。例えば、第一の場合、附属施設の一部だけを管理するとか、第
二の場合、数棟の区分建物のうち1棟だけを管理するとかはできな
い。
〇 このような手続きで団地規約を定めると、それ以外に棟管理組
合の規約は不要である。もちろん、棟管理組合は存続し、棟管理
組合ごとに決すべき事項はある。例えば、義務違反者に対する措
置や建物が滅失した場合の復旧などは棟単位の決議で決する。
しかし、これらに関する棟総会についても、団地管理組合で定めれ
ば、一々棟管理組合の規約で定める必要はない。
標準管理規約の団地型においては、第8章に「棟総会」の項を設
けている。
エースビジネス学院のホームページ
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