区分所有者以外の第三者(マンション管理士や管理会社等)をマンションの
「管理者」とする方式を第三者管理方式という。

 管理者は、区分所有法上、共用部分の管理・保存、集会(総会)で決議された
事項の実行、区分所有者全員を代理し、区分所有者のため裁判の原告・被告とな
る。非常に強い権限を持ち、ほとんどの場合、管理規約では、理事長が「管理者」
にもなっている。

 ただし、管理組合が法人である場合には、法人が区分所有者全員を代理し、区
分所有者のため裁判の原告・被告となるなどするため、「管理者」の規定は適用
されない。この法人には必ず理事と監事を置かなければならないが、理事や監事
は必ずしも区分所有者である必要はない。

 そこで、管理組合が法人化されていない管理組合において、区分所有者以外の
者を「管理者」とする第三者管理方式が問題とされている。

 法律上は第三者を管理者とすることはできる。国土交通省の平成20年度マンシ
ョン総合調査によると、第三者管理を実施しているのは全体で約5.1%ある。投
資型マンションやリゾートマンションに多いといわれている。
 ちなみに、管理組合が法人化されているマンションは全体で約11%である。

 一般のマンションでも、区分所有者の高齢化、賃貸化、管理への無関心化等の
進展により、適正な管理が行われていないということで、マンション管理に精通
した第三者を管理者と選任し、マンション管理を行わせる事例が増えてくると予
想されている。

 国土交通省もこのような事態に無関心ではいられないので、平成20年4月に「マ
ンション管理の新たな枠組みづくりに関する調査検討報告書」を公表した。
 また、平成21年3月には、社会資本整備審議会が、「分譲マンションストック500
万戸時代に対応してマンション政策のあり方について」と題して、国土交通大臣に
答申を行っている。
いずれにも、マンションの第三者方式についての記述がある。いずれも膨大な資
料の中のわずか1ページ程度の記述であり、問題点を明らかにしたという程度のも
のである。

 要するに、管理者に大きな権能が集中することにより、極めて効率的な管理の実
現が期待できる反面、区分所有者でないこと等から、区分所有者の意思を離れて、
不適切な管理が行われるおそれがある。また、チェック機能が十分働かなくなる危
険性があるとか、区分所有者が管理者となる場合と比較して、新たな管理コストが
生じるとかの問題点を指摘している。

 そして、今後は、第三者管理が機能している事例の実態を把握し、第三者管理を
導入しようとしているモデル的な管理組合に専門家の派遣等の支援等を行い、事例
集の取りまとめ等を通じてノウハウを蓄積することが必要としている。

 また、マンション管理士、管理業者等の団体において、適切な研修や人材育成を
行うことも有益と考えられ、自発的な取組みも期待されるとしている。

 ここでは、マンション管理士と管理会社双方を第三者管理者として期待している
ようである。確かに、第三者管理の実績は今のところ管理会社のほうが圧倒的に多
い。それは、マンション管理士の制度ができてから、まだ10年も経過していないの
だから当然のことである。しかし、管理会社が、管理と「管理者」と両方を兼ねれ
ば、あまりに、権限が集中しすぎないか。管理会社の専横が今でも言われているの
に、本当にそれでいいのか。

 我々マンション管理士としては、「管理者」として十分に信頼できるという実績
を積み重ねて行かなければならない。

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