黄帝内経を紐解くと、天元紀大論の記載には、申年は少陽が天を司るとあります。
少陽が天を司るときは、相火を主とします。
今年は、どのような病気に注意が必要なんでしょうね?

五常政大論の記載には、司天少陽相火の年は、火気が地に臨み、肺金の気が天に従って火の用いる
ところとなるため、地上の草木が害を受けるとあります。
もし、火が灼熱状態になると、金気を剋しますので、肺の金気が変化し、また消耗することになります。
炎暑が広がると、人々は咳やくしゃみ、鼻水や鼻づまり、鼻血、寒熱の病気、浮腫などの病気に罹りやすくなります。

別の記載には、少陽が司天の年は、火熱の気が盛んになって、焼かれる感があるといいます。
泉は枯れ、植物も枯れやすく、人はうわごとを言うようになったり、咳と喘ぎがひどくなって呼吸困難になったり、
大小便に血が混じって止まらないなどの病気に罹りやすくなるといいます。

少陽が天の気を司る年は、地の気、在泉が厥陰風木となるため、風気が地に流行し、土埃飛び交い、
心痛、胃痛、息詰まり、胸のつかえなどの病気に罹りやすくなります。
こうした現象は急激に発生するとあるので、予防が大事ですね。

気交変大論の記載には、丙の年は水運大過とあります。
水運が大過の年は、寒気が広がりますが、寒気は季節より先に到来します。
人は発熱しやすく、動機やイラツキがあり、四肢が冷えて全身が冷たくなり、うわごとを言ったり、
心臓が痛むなどの病気に罹りやすくなります。

体内の水気が強くなりすぎると、腹水が現れます。
足がむくみ、咳や喘ぎがあり、寝汗をかいたり、寒気がしたりします。

簡易にまとめてみると、水運が大過である年の変化は、内臓では腎と心に現れるといいます。
腎を整え、下半身の痛みや不調に注意し、心痛や循環器の弱りに注意しましょう。

六元世紀大論の記載には、大寒(1月21日)から73日間の初運は、水気大過で厳寒とあります。
水気大過の正常な変化は氷結と寒冷ですが、異常な場合は氷雪や霜、雹の害です。
人の病気は、寒気による浮腫みですので、内からも身体を温め、水の代謝も良くしましょう。

第二運、3月24日からの73日間は、木気不足。
第三運、6月5日からの73日間は、火気大過。
第四運、8月17日からの73日間は、土気不足。
終運、10月29日から翌年大寒までの73日間は、金気大過とあります。

気化が普通の年よりも早く進むので、季節の到来は早まるでしょう。
天気は正常でも、地気が騒いで動くため、強風が巻き起こったり、埃が舞い上がって、炎熱となるとあり、
強暴風や黄砂、PM2.5の被害に注意が必要ですね。

太陽湿土の気が、少陽相火の気と並び行われるようになると、ようやく雨が降るべき時に降り、
火と木が協調して作用を発揮するようになると記載されていますが、この時、天上では、

火星と木星の光がこれに呼応して強くなるといいます。
これに対応する穀類は、赤と青の穀物とあるので、小豆やサツマイモ、枝豆などを薬膳に活用しましょう。

六元世紀大論で大寒から73日の初気を読み進めると、主気は厥陰風木で、客気は少陰君火。
すると水運大過の厳寒なるも、地気が転移して在泉の厥陰風木の気が盛んになって揺れ動き、
寒気が退いて、気候が目に見えて暖かくなるでしょう。

草木の成長は早く、仮に寒気が襲っても影響を受けないでしょう。
ただし、人は血気が上に上がりやすく、口や鼻からの出血、目の炎症、咳が出て、息が逆流したり、
頭が痛んだり、のぼせたり、両脇が腫れたり、皮膚病などの病気に罹りやすくなります。


病気には、大過の気を抑制し、不足や剋傷去れている気を補うことが基本となります。

水気の大過には、先ず塩分を抑え、程よく甘みを補い、木気の荒れや鬱屈には辛みを用いて、
発汗や排せつなどの水の代謝を良くするよう、食事や投薬に応用したいものですね。^^v

丙は、芽が地上に出て葉が張り広がった状態で、形が明らかになって行く意味があります。
申は、草木が十分伸びきって、実が成熟して香りと味が備わり、固く殻に覆われて行く状態を意味します。
二黒土星が中宮の年ですが、二黒の土は大地、草原、畑などの育成と基礎基盤となる土です。
基礎や基盤となる土台と縁を固め、明るく成果が表れてくる年となりますように。(念)