2013年 1月の記事一覧

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13年01月28日 09時31分30秒
Posted by: kinokagaku
2013年は癸巳の年ですが、暦を見ると、癸巳の日には「天一天上」と必ず書かれていることに気付きます。
大辞林によると、「天一天上(てんいちてんじょう、てんいつてんじょう)とは、暦注の一で天一神が天に上る癸巳の日、また、その日から16日間。
方角の禁忌のない期間とあります。

天一神(てんいちじん、てんいつじん)というのは、方角神の一つで、十二天将の主将です。
別名、中神(なかがみ)、天一(てんいち)、天乙(てんおつ)、貴人(きじん)ともいいます。
天一神は天と地との間を往復し、四方を規則的に巡るとされ、天一神のいる方角を犯すと祟りがあるとされました。

天一神の出自については、帝釈天の大臣であるという説や、北極星の精であるという説、荒神であるという説、天女であるという説など色々あります。
天一神の別名「中神」は、天一神が十二天将の中央に立つからという説や、一つの方角に長く留まるので「長神」の意味であるという説もあります。

この天一神が天上におられる期間は方位の吉凶や障りが無いため、どの方位に行っても良いとされています。

天一神は、癸巳(みずのと・み)の日に天上されるので、それから戊申(つちのえ・さる)の日までの16日間が天一天上の期間となります。
その年の最初の天一天上の1日目を「天一太郎」と言い、上吉日とされています。
2013年では、2月4日の立春から初めての癸巳の日、3月28日ですね。
古来は、この日に雨が降るとその後の天候が良くなくなると言われ、この日の天候でその年の豊作・凶作を占ったものです。

天一神は、以下に記す44日間は天上から降りて下界で四方を巡るとされています。
これを天一神遊行(てんいちじんゆぎょう)といいます。
それぞれの期間に天一神がいる方角を塞(ふたがり)といい、その方角に向って事を起こしたり、その方角に真っ直に進んだりすることを避けたもので、
これが平安時代に有名な方忌みなのです。

天一神の遊行している方角は次のようになっています。

【天一神の方角】
己酉~甲寅の間、艮(北東)の方角。6日間。
乙卯~己未の間、卯(東)の方角。5日間。
庚申~乙丑の間、巽(南東)の方角。6日間。
丙寅~庚午の間、午(南)の方角。5日間。
辛未~丙子の間、坤(南西 )の方角。6日間。
丁丑~辛巳の間、酉(西)の方角。5日間。
壬午~丁亥の間、乾(北西)の方角。6日間。
戊子~壬辰の間、子(北)の方角。5日間。
癸巳~戊申の間、天上。16日間。

天一神は特に平安時代に強く信じられ、当時の方違えのほとんどは天一神のいる方角を避けたものでありましたことよ。
由来を尋ねると、天一神忌は860年頃にはじまったようです。
源氏物語の「手習」には、僧都が長谷寺参詣の帰り、病んだ母尼を小野の家へ連れもどすべきを、天一神の方塞りで宇治院に移した話があり、
「帚木」では、源氏が内裏から方塞りの左大臣邸へ来た折、女房たちのすすめで伊予守の家へ移った次第が述べられています。
しかしこの神が天上に上る日は天一天上と称して何事も吉とされ,藤原実資はその日に寝殿の檜皮をふかせた故実があります。

天一天上(てんいちてんじょう)日は癸巳の日ですが、天一天上の期間とは、癸巳の日から戊申日までの16日間です。
この期間は、天一神は天上に帰り、天一神の祟りはなくなり、旅行や移転等何処へ行っても良い期間として、選日の一つとして暦に記載されてます。
ただし、その代わりに日遊神が地上に降りて家の中に留まるので、この期間は家の中を清潔にしなければ日遊神の祟りがあるとされていますよ。^^;

暦の選日には、こうした迷信、故事が多いわけで、気にする必要はないのですが、休暇をとり遊行や旅行に行く際に、家の中を綺麗にしておくことは、良いことですね。^^

13年01月03日 12時01分44秒
Posted by: kinokagaku
宿曜とは、弘法大師、空海が翻訳、もたらした宿曜経(「文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶時日善悪宿曜経」)を
歴代の密教徒などが研究した秘伝の東洋占星術です。

謂れは今から3000年前、文殊菩薩が著したもので、初めはインドで暦として生まれ、その後、
密教占星術に取り込まれて中国に渡り、不空という僧が翻訳した「文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶日善悪宿曜経」が基となり、
中国宿曜道となって、道教の概念も取り入れられ、唐で完成したのではないかと言われているそうです。

かつては、この占星術を宿曜道と呼び、この占星術をなりわいとするものを宿曜師(すくようじ)と呼びましたが、
すでにあった陰陽道の陰陽師(おんみょうじ)と勢力を二分したそうです。

西洋占星術と同じく、宿曜占星術でも、太陽が1年(12ヶ月)間で運行する軌道を12等分し、1ヶ月ごとに「宮」があります。
羊宮、牛宮、夫妻宮、蟹宮、獅子宮、女宮、秤宮、蝎宮、弓宮、磨宮、瓶宮、魚宮の12宮です。
これだけを見ると、西洋占星術の12星座に似てますが、意味合いは全然違います。

27宿は月を基にし、12宮は太陽を基に定められているのですが、「太陽に属する6宮」と「月に属する6宮」に分けられ、
また、それぞれに7曜(エレメント)があてはめられます。
これらは太陽周期による期間を表すのではなく、生まれ日の属性を示すファクターなのです。

月は約27.3日かけて天球を1周しますが、宿曜はその27日間の一日一日をそれぞれ27宿星にあてはめて
その日に生まれた人の性格、資質、運勢を占います。
したがって、一日違えば宿曜は違い、年によって、同じ月日の生まれでも宿星と曜日が違います。

宿星は、月の軌道上にある27の星座の名前がついていますが、この月齢と星や曜日の関係に加えて、
地球上の森羅万象の相関関係を究めつくした二十七宿は、我が国では調停の行事や、戦国武将の戦略にも重宝され、
その的中率が高いため、当時は幕府の命で、一般にはお止め流になりました。

宿縁を調べて、相手との関係のあり方やこれからの推移が判ったり、
日々のあり方や注意すべき点がわかるのが、宿曜論なのです。

普通、宿曜運用には、三九の秘宿法を用いて、業日(生まれ日の宿から9日目の宿)から始まる一週間を、
「暗黒の一週間」と呼んで、注意するのですが、七曜陵逼の期間には、運用が異なります。

七曜陵逼の期間とは、曜日が宿を圧迫し犯す期間とされ、吉凶が逆転します。

この期間、業・栄・安・成・友・親の宿日は、吉が転じて凶となり、
衰・危・壊の凶宿は、吉宿に逆転するとされています。

また、命(生まれ日の宿)と胎(生まれ日から18番目の宿)の宿日に、
厄難に遭う危険があるとされます。

七曜陵逼の期間で最も懼れることは、「六害宿」です。

命宿(誕生日の宿)には、財産を失い災厄を招く。
意宿(誕生日の宿から3日目の宿)には、悲しみ苦しみを招く。
事宿(誕生日の宿から9日目の宿)には、災禍・災難を招く。
克宿(誕生日の宿から12日目の宿)には、財職を失い、勢力失墜を招く。
聚宿(誕生日の宿から15日目の宿)には、財を失い、別離を招く。
同宿(誕生日の宿から19日目の宿)には、一族の争いと財産の消耗を招く。

それぞれの害宿には、不運・不幸を招く因となる、避けるべき行動があり、
例えば聚宿では、夫婦喧嘩・親子喧嘩・浮気・見合い・プロポーズ・デートの申し込み・
ラブレター・趣味の集まり・出版・記者会見・知人の紹介・計画の変更などが、避けるべき行動になります。

2012年の宿曜陵逼は、4月と8月から9月にかけての2期間だけでしたが、
2013年では、かなり頻繁にありますね。^^;
かつて政権交代が起こったのも、この宿曜陵逼の期間で、とかくイレギュラーな事象や因縁の生起が起こりやすい期間です。

2013年では、宿曜陵逼は以下の期間となります。
2月26日から3月11日。
3月26日から4月21日。
5月10日から5月19日。
6月9日から6月16日。
11月26日から2月22日。

東方、観世音菩薩は六害宿の難を避けしめ、普賢菩薩、文殊菩薩は羅刹日の難を避けしむとありますが、
密教ですので、秘密の意味が隠されていて、これらの菩薩の知恵の意味合いを調べると、なるほどと得心できますね。^^
13年01月03日 11時57分52秒
Posted by: kinokagaku
癸(き、みずのと)は、十干の10番目、最後に位置しますが、陰陽五行説では水性の陰に割り当てられており、
水の兄が壬(みずのえ)で、癸が弟にあたります。

許慎の『説文解字』には、「水四方より流れて地中に入るの形に象(かたちど)る」とし、
「冬時、水土平らかにして、揆度(きたく)すべきなり」と説明しています。
五行では木は春、火は夏、金は秋、水は冬にあたります。
冬期、林の木樹は葉を落とし見渡し易く、水も土中に入って、林の中の計測はしやすくなるものです。
揆度(きたく)とは、はかる、計測するという意味です。

魏の張揖の著した、『廣雅』という辞書の釈言篇に「癸は揆なり」とあり、『史記』の律書篇にも
「癸は揆なりで、万物は揆度することが出来るという意味だ」とあります。
このように癸には測るという意味があり、揆策(計画)・百揆(もろもろの計画)・
首揆(国の計画を主宰する首相)等の熟語があります。
あまり目にしない熟語ですね。^^;

揆のついた熟語を思い浮かべるなら、江戸時代の「一揆」かしら?
言葉をひっくり返して、反対にすれば「揆一(きいつ)」という熟語があります。

「揆一」とは天下を治める道が同一であるという意味で、『孟子』に、「先聖後聖その揆一なり」とあります。
また後漢の班超の『王命論』には、「天に応じ、民に順うに至ればその揆一なり」とあります。
応天順民の政治が行なわれるならば、民心が一つに纏まって、政道も一途出るという意味ですね。

しかし、天意に逆らい、民心に反する政治を行って民衆が苦しむ時は、民衆が団結・反抗するのが一揆です。
一向一揆・百姓一揆の語のある所以ですね。

このように癸には、はかる(測る・図る・計画する・道・法則)という意味があり、癸の字は「揆」(はかる)につながり、
植物の内部にできた種子が大きさを測れるまで大きくなった状態として、10番目に宛てられたといいます。

巳は「シ」「やむ」とも読まれ、原義は胎児の姿を表す象形文字です。
蛇が冬眠から覚めて地表にはい出した姿を表すともされ、従来の生活に終わりを告げると言う意味を持ちます。
蛇は天地創造の昔から、知恵、財産をもたらす神様として、信仰の対象になっていますね。
陰陽五行では陰の火にあたり、人の心を温め、安らぎを与え、暗夜の中で光明となる灯火です。

さても歴史は繰り返すとか?
巳年に起こった歴史を、振り返ってみましょう。

1905年:日露戦争終結(ポーツマス条約)
1917年:ロシア社会主義革命
1929年:世界大恐慌の始まり
1941年:太平洋戦争開戦(国内では、開門トンネルの開通)
1953年:ソ連首相スターリンの死去による暴落(国内では、吉田内閣のバカヤロー解散)
1965年:米軍が北ベトナムへ爆撃開始(国内では、名神道路の開通)
1977年:有珠山噴火
1989年:ベルリンの壁撤去開始、昭和天皇の崩御(平成天皇の時代へ)
2001年:21世紀の始まり アメリカ同時多発テロ

12年ごとにくる巳年には、世界規模で歴史の変化があるようですね。
社会も個人も、何かが行き詰ると「心機一転」のエネルギーが働き、歴史は動くようです。

癸の意味する種子の中で測れるほどに生育しているモノと、巳の意味する胎児と止むモノとは?
不吉不幸なモノは止め、吉兆幸福の因は誕生を図り、この癸巳年が、世にも個人にも良きスタートとなりますように。
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