ISOを取るなら、最低限知るべき審査機関の仕組み

~審査機関はよく判らない、しかし最低限知っておくべき事を押さえよう~

混乱している事、認証審査機関と認定機関の違い

ISOの審査機関は、国内には、外資系も含めて、80前後ある。そんなに必要か?

と思われるが、認証件数の減少に伴なって、最近若干減少ぎみだ。

ところで、認定機関というものをご存知だろうか。これは、審査機関を審査する機関で

日本に認定機関は一つしかない。

財団法人 日本適合性認定協会<通称 JAB>だ。通常「認定機関」は国に一つしかない。因みに、日本の<JAB>は経済産業省の外郭団体である。

IAFという国際的なISOの団体がある。各国の認定機関を統括し「相互認定」の仕組みになっている。つまり、英国の認定機関<UKAS>とJABは地位が同じで審査機関がどちらの認定を受けていても、審査の「価値」は同一になる。

世界規格であるISOはどの国でとっても価値は同じである。

しかし、実態と形式は異なる。実際同じISOの認定でも、JABよりUKASの方が“ブランド力”がある。

JABは世界ではメジャーではない

輸出に頼る企業には、UKASをお勧めしたい。JABは日本では「メジャー」だが、国際的には、決して「メジャー」ではない。

ISOは審査機関が認証する。その審査機関を認定機関が審査して認定マークを与える。審査機関の品質を保証している。

どの認定機関を選ぶかは審査機関の自由だ。日本の審査機関が外国の認定をとってもかまわないし、いくつも認定を取っている外資系の審査機関がいくつもある。

よく、町でISOのマークと審査機関のマークを表示しているトラックを見かけるが、どうせなら、認定機関を表示したほうが意味があるのです。

審査機関と認定機関の違いご理解いただけたでしょうか?

尚、どの認定にするかは、担当のコンサルタントに相談すべきだ。

審査機関の選び方のワンポイントアドバイス

審査機関は、多くの審査員を職員としてまた嘱託として確保している。

そして、業界別、規格別に登録させている。

大きい審査機関ほどたくさんの分野をカバーしている。

そして、定期的に教育し、審査品質の維持向上に努めている。

実際、審査は毎年あるわけだが、同じ人が来るとは限らない。とすると、審査員による

意見の違い、指摘の違いがあったのでは困る。しかし現実には多いのだ。そこで、審査機関による「品質管理」が重要になる。

だから、審査機関を選ぶ一つのポイントは、正規職員の多いことだ。

そして、教育の頻度、審査の方針などだ。ばらつきが少なく平均レベルが高いのが理想だ。

外資系、独立系、そして日本の業界系列系

審査機関をあえて色分けすると、こうなる。私がお勧めするのは、この順番だ。

理由はこうだ。

最もISOの業界で、世界中で審査の経験を持っているのが、大手の外資系だ。組織の規模、業種、様々なケースに対応しノウハウを蓄えている。実際日本の審査機関より、10年のキャリアの差がある。

中には、世界数十カ国に支店、現地法人を持ち、同じく全世界に拠点をもつグローバル企業の審査を行っている外資系がある。日本の審査会社は残念ながら、そのレベルにはない。

独立系とは?

これは、業界(鉄鋼連盟やガス協会などの)団体とは無縁の独立した機関である。

この独立系には、認定にも加盟しないところもあり、また外国の認定のみというのもある。個性的だが、一つの理念をもって運営しているので、相性があえばお勧めだ。規模が小さいことが多い。

業界をバックにした機関は、約半分が「財団法人」で、民間でありながら「お役所」みたいなところが多い。未だに営業担当がいない場合も珍しくない。

歴史的に、その業界団体加盟の企業の審査で事業が成り立っているので、顧客対応が弱い。

中小企業に強い審査機関とは

ところで、最後に今のISO取得の中心である中小企業(50人以下が多い)に向いているのはどこか?

残念ながら、これも外資系になる。理由は先ほどの「経験」の話になる。

ISOはどの国でも、大企業から取り始める。そして中堅が取り、中小になってくる。

すると、10年先行している外資系は10年早く中小企業の審査経験・ノウハウを持っていることになる。

実際、大企業の審査と中小とはコンサルでも審査でも全く違うのだ。

つまり、その会社が金属加工か食品会社かの違いよりも、1000人規模か35人かという違いのほうが、やり方の隔たりは大きいのだ。

その点、独立系は歴史が浅く、審査事業を始めたときから、中小企業しか相手にしてこなかったという事情がある。この辺を頭に入れて、選んで行きたい。

審査会社は実はいつでも変えられる。相性がわるければチエンジ。

しかし、結婚と同じで、なるべく変えないほうが良いのは言うまでもない。

今なら、ISO取得費が100%賄える助成金を活用できる。

                               ISO原人