サービス業でISOが威力を発揮する理由

ISOの取得がサービス業で盛んだ。当グループも運送業、介護サービス業などの

ISO取得支援をしている。

そして、従来の見方に反して、これらの現場では、多大な成果が見られる。その一例をサービス業の中でも「シビアーな現場」と言われる、医療サービスでの話をしよう。

ご承知のように、今や病院の半数以上が「赤字経営」となっている。それでいて、医師

及び看護師が慢性的に不足の実情。

医療サービスの重要な価値とは何かと言えば「命を守る事」だろう。しかし、その命を

守る方法は、高度な手術やCT,MRIといった高額な検査機器によるだけではない。

問題は、そういう目立つ事ではなく、日々の日常的な医療行為で、ISOが威力を発揮

していると言う部分である。

9001の「識別」「トレーサビリテイ」

「識別」とは何かと何かを区別すると言うこと。「トレーサビリテイ」とは、追跡可能性

の事で、問題があったとき、その原因を特定する手がかりがきちんとしていること。

ある患者に50ミリグラムの注射をするとき、間違えて150ミリ投与すると、薬によっては、患者が危篤になったり、体調によっては、急死する事すらありえる。

薬の量の外に、高血圧の患者に糖尿病の薬を投与したり、危険な事態はいくつもあり得る。

死亡事故は患者も気の毒だが、その病院にも「致命傷」を与えることがある。

その事故が原因で、来院患者が激減し、廃業に追い込まれる例は珍しくない。

多くの病院は、高価な検査機器を何億もかけて、導入している。たちまち、その返済

が不可能になる。

医師の指示ミス、看護師による薬の取り違えや、勘違いによる事故は起きてはならない。

極めて難しい手術や、高価な検査機器による事故よりも、日常の注射や投薬のほうが頻度がはるかに高く、事故の確率は高い。

わずか、3~5秒の投薬前の確認(レビュー)作業の抜けをなくすだけで、防げるのだ。

その、確認作業の確実な実行で、病院の「命運」が左右される。

ISOを取り入れている病院で必ず実行されている事

それは、投薬や採血のまえに必ず「お名前は」「生年月日は」と聴くことである。

例えば、既に1ケ月も入院していて、担当看護師がその患者を知り尽くしていても、

毎日必ず「名前」「生年月日」を確認する。

患者には、一見ナンセンスのように見えるが、そうではない。

看護師は通常20人くらいの患者を受け持っている。だから、その都度患者を確認することは、「必須の動作」なのだ。

分かりきった事、当たり前のことが、必ず実行される。これこそISOが職場で実践されている光景なのだ。

多くの病院では、最近入院患者の手首にプラスチックのタグ(腕輪)が嵌められていて

退院まで取れない。

そのタグには、患者の氏名と生年月日さらにそれをバーコードで印刷している。

患者に直接名前を聞くと同時にバーコードでも確認する。ダブルチエックだ。

安全性、信頼性の格段の向上

医療サービスの現場では、こうした確認、チエックが実行されればされるほど、安全性、信頼性は向上する。

命を守る医療現場は、万が一にも起こしてはならないのが致命的事故である。

しかし、不幸にも起きてしまった場合は、その原因を「追跡」しなくてはならない。

その考え方と、方法が「トレーサビリテイ」と言うISOの規格要求だ。

原因分析、再発防止策の検討・選択、実施結果の検証と言う一連の是正、予防

措置の流れになる。

「追跡できるような状態」にしておかなくてはならない。

「サービス業でISOが威力を発揮している」は事実です。

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                                   ISO原人