取引先の評価・選別

ISO9001の規格要求の中で、5.4購買先の評価、選定という

要求項目がある。


自社の製品(又はサービス)の品質に影響を与える仕入先の評価は一定の

基準を設け、定期的に評価し、選定する事を義務づけられている。


必ずしもISOを取得していなくては、ならない訳ではないが、最も判りやすい

仕入先の評価(仕入れ品の評価ではない)がISOの取得である。


何故なら、アンケートを出している企業自身が通常ISO9001を取得し、運用

しているから、その意義と効用を体験している為だ。


無言のメッセージ   <9001の例>

こうしたアンケートが来たら、経営者はこう考えるべきである。


1. 仕入先であるあなたの企業(の品質の)体制を評価しています

2. ISOをとって、品質管理の仕組みを創る意向があるか教えてください、

(心配しています)

3. もし、明確に品質管理の仕組み(ISO)を作る予定(意向)がないと判断

出来れば、近い将来には御社との取引は、見直します。


 という意味(メッセージ)です。


「うちは、長年優れた部品を納入しているから、ISOなど取らなくても、

問題ないと思う」と考える経営者も多いだろう。


しかし、この答え方は、ISOをよく理解していない人の「言い訳」なのだ。


このアンケートは何を聞いてきているのか?製品品質のことだけを

訊いているのではない。


品質と体制両方なのだ。

アンケートを軽視してはいけない!

もし、あなたの会社が、その取引先オンリーだったら、選択の余地はない。

ISOを取らなければ、企業存続の危機になる、と考えたほうがよい。


もし、主要な取引先の場合でも、同じである。選別に洩れたら

一気に、売り上げの30%がなくなったら、「経営危機」を迎えるのだから。


今まで、10年、20年取引のある、取引先でも冷徹に考えるべきである。

「いい仕事をやっているのだから、」と慢心することは、禁物である。


プロセスと仕組み(体制)を問題にしている

いい製品かどうかは、毎回の受け入れ検査などで、既に判っている。

問題は、良い製品が出来る「過程=プロセス」や、問題が起きたときの

対処の仕組みだ。


例えば、自動車メーカーのリコールの場合などが典型だ。


「その欠陥部品は、OO年OO月OO日以降につくられたもので、そして、

それは、いつまで同じように作られたのか」という問い合わせに、


明確に迅速に「証拠=記録」を見せて答えなくてはならない。

それには、製造の細かな管理記録を常時提出できる体制を要求される。


ISOの取得とは、「いい品質」だけを要求されているのではない!


「いい品質」は勿論、そしてその製品をつくる、もろもろのデータや過程

の記録を完備する必要があり、


さらに場合によっては、従業員の育成計画や、熟練技術の継承の状況まで

問題にされる。


社内で、不具合(不良品)が見つかった場合の対処の仕組みや、方法なども

チエックされるのがISOなのだ。


ISOの取得企業と未取得企業との違い

ISOを取得した企業とは、国際的な認証基準をクリアーした企業であり、

その「企業のマネージメントの水準」を保証している。


未取得企業は、つくる製品のレベルがどんなによくても、社会的には

経営品質が国際基準レベルで保証されていない、ということになる。


取引先からの「アンケート」には、このような意味がこめられている。

「軽視するべからず」だ。


そして、たとえ取引先から言われて、「嫌々取ったISO」でも、

じつは、今後の厳しい仕入先の選別に万が一漏れて

あらたな取引先を探す時、どれだけ「強い見方」になるか想像して欲しい。


そして、例え取引先から言われたメッセージ「アンケート」であっても


「もうおたくの会社は、ISOを取るべき段階にきています」

というメッセージなのだ。自覚するべし。



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