ISO14001<環境>で、800万円以上の利益
記事投稿日2010年04月03日土曜日
投稿者:ISOジャパンネット カテゴリー: General
3Kといわれた
3Kといわれた業種のゴミ回収業。茨城県のK社は、従業員70名。大手のゴミ回収業。先代社長がトラック1台から身を起こした。
2代目の現月山社長が、その行動力と粘り強さで今日を築いた。
おたくは、いつISOをとるのか?
経営が順調に推移する中、近隣の自治体を顧客とする中、窓口の役人から、お宅はいつISO14000をとるつもりですか? と聞かれるようになった。
月山社長は、「うちの会社は、お客の信頼を得られる事をいつも心掛けています。だから、特別そのようなものを持つ必要はないです。」 とその度に言い放った。
勿論、最近同業社の多くが、仕事柄ISO14000をとっているのは承知していた。何故なら、入札で、指定業者で指名される為には、一つの有力な資格である事に間違いなかったからだ。今、地方自治体自身がISO14000を取得している状況も、更に普及を後押ししている。
こうした時、同業者の会合があり仲の良いC会社のC社長と隣り合わせ、話題がISOの事になった。
月山社長は、その社長に持論をぶつけた。
C社長は、ニヤニヤして、ひたすら月山社長の言い分に耳を傾けていた。そしてポツリと言った。 「でも、うちの会社は随分変わったよ。一度見に来いよ。」
月山社長は、その自信ありげな言い方につられて、 「わかった!来月行くから。」と思わず言ってしまった。
床がピカピカ、挨拶も満点!
1ヵ月半後、C社を訪れた。まずびっくりしたのは、どこを見ても 「床がピカピカ」 で、あった事。更に従業員が皆、気持ちよく、丁寧に挨拶する事に驚かされた。
ISOの取得状況の説明を担当部長から受けたが、その事よりも 「床」 と 「挨拶」 の方が強烈な印象として残った。
「どうして、こういう状態ができるんだろう?うちではとてもここまで行けない。ISOでこんなに変わるのか?」と心の中で呟いた。
C社は、月山社長のK社とは、競い合う良きライバルのような関係だった。いつも気にしていたが、仲は良かった。
それから約2ヶ月間、月山社長は、あのC社のような状態に自社を持ってゆくにはどうしたら良いのか考えていた。
そうした中、水戸のH製作所を退職したOさんが挨拶に訪ねて来た。その際、社長は質問してみた。 「あなたもH製作所でISOをやった経験で教えて欲しいんだが、うちあたりで具体的成果が出るだろうか?」
ISOもツール!使い方次第!
すると友人であるOさんは、
「社長!何のシステムも技法もツール(道具)ですよ。道具!道具を使うのは人(=経営者)ですよ。」
月山 「だから、何故知り合いのC社はあんなに変わったのか?それを聞いているんだよ。その手法がISOなのかどうか?」
こんなやりとりを1時間した後、月山社長は、Oさんに
「どうだろう、あなたも定年になってのんびりしたいだろうが、ISOの経験を生かして、うちに週3日くらい来てもらえないだろうか?」
Oさんも話の流れに乗って、そんなつもりはなかったが、「アルバイトのつもりで手伝うか。」 と軽い気持ちでOKした。
K社のISO取得は、やや漠然とした中でスタートした。そして10ヵ月後、見事認証が取れた。
ISOは目的じゃない!体質強化が目的
社長は、その間こんな事を言い続けた。幹部に 「ISOを取るのが最終目的ではない。問題は、強い体質の会社にすることだ。じゃ、それはどういう状態かと言えば、C社のように会社のどこを見てもピカピカで、誰が会社に来ても気持ちよく挨拶できる社員にすることだ!」 と。
認証が取れた月の2~3ヵ月後。
総務部長がこんな報告をしてきた。
社長、当社はゴミ回収車(パッカー車)が60台あります。 このガソリン代が
月35,000ℓかかる。これが、ここ2~3ヵ月、28%ほど減っている。ℓ=100円として、70万円のコスト削減になっているという。
月山社長 「えー。そんなに減っているのか?仕事量が減ったんじゃないよな?
どうしてなのか、詳しく調べてみてくれ。」
半年前から、K社では、ISOの部門別目標の展開をスタートしていた。
各部門が年間目標を掲げ、実績を把握する会議を開いていた。
各人が“省エネルギー”“省資源”、環境に配慮した仕事のルールを守る具体策をつくり、実行していた。中でも最も大きい影響は、毎日使う車のガソリンであった。
経済速度の遵守、アイドリングストップの実行、空ぶかしの自粛、そして安全点検、その為の運転マニュアルの作成等を行い、実践していた。そして、それが確実に成果を出し始めていた。
それまでK社では、ゴミ回収車を運転する社員は、自分の担当する車が、1ヶ月に一体何リットル使い、何キロメートル走り、燃費(リットル当たりの走行キロ数)について、考えたことはなかった。
毎月の会議で、その詳細な実績が各人別に報告され、上手な運転の仕方をしているチームに具体的が質問がされるという場面が見られた。
月70万円のコストダウン→年間840万円~1,000万円。これは大変な成果であった。
社長はC社のような 「しつけ」 が実現されることを願って、ISOに取り組んだが、思わぬ成果が先に出現した。
しかし、職場や、60台のパッカー車も、だんだん綺麗になっていることも間違いなかった。
「ゴミを載せる車だからこそ、いつもピカピカにしろ!」 これが口癖だった。
「ゴミの車がピカピカなら、お客さんも安心して、ルールを守ってゴミを出してくれるようになる。」
こんな、ややこじつけの言葉を朝礼で繰り返していた。
そして社長は、コストダウンした利益を、貢献した社員に還元した。社員は、更に自分
の目標管理を推進していった。
月間MVP賞を設け、個人表彰を毎月1日に実施した。
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