1991年のアメリカ映画「BIG」の中で、何も知らずに玩具メーカーの社員になってしまったトム・ハンクス(本当はまだ子供)が、社内で出くわした社長の言葉を聞き、何気なく質問します。「マーケティング・リサーチって、何です?」。リサーチの結果に納得がいかない社長は皮肉と受け取り、嘆息。「私も教えて欲しいよ」 と。

以前は、日本の企業もよくカネをかけてマーケティング調査をしたものです。とくに外資系企業が好むため、よいマーケティング手法と捉えられているようです。しかし、その結果の有効性は非常に疑わしい。

例えば、“グルイン”。ターゲット層のモニター被験者を数人呼び、グループ・インタビューを行うものですが、主婦やOLなど女性同士の場合、お互いが妙に牽制し合い、見栄やうそを含んだ発言が支配的になったりします。

「この商品が10,000円だったら買いますか?」との質問に「ええ、これだけ便利ならぜひ買いたいわ」と答えるけれど、実際は買いやしないのです。ウチは家計に余裕があってよ、と言いたいだけだったりするのですね。あるいはインタビュアーの性別や年齢によっても結果は違ってくる。もしもインタビュアーがイケメンなら主婦も財布を開くふりをするのです。

「多少、高くてもリサイクル素材の商品を買いたい」と70%が答え、「リサイクル素材ではなく安価な商品を買いたい」と30%の人が答えたとします。しかし、実際に割高な商品を買う人は70%もいるでしょうか。

少し前、スターバックスの店頭で簡単なアンケート調査を受けました。しかし、質問者はたったいまスターバックス・ラテを淹れてくれた人。お客さんは店頭のサービスが良くないとか、テイストがいまいちだとか、床にゴミが落ちている、などといえるでしょうか。私は、いえませんよ。