デジタルサイネージを日本語でいうと「電子看板」となります。

具体的には、店頭に設置された液晶パネルに動画が流れる広告・販促ツールのことです。大はビルの壁面ビジョン、小はコンビニのレジスター背面に映し出されたコマーシャル、マツキヨ店頭やJRの車内でもみられますね。韓国では街角に「メディアポール」と呼ばれるデジタルパネルがあり、広告配信のほかプリクラやEメールスタンドのような使い方もできるそうです。

デジタルサイネージは紙に印刷したフライヤーやPOPと、刻々と情報が変わるインターネットの即時性を足しあわせた特性をもち、フレキシブルな広告情報の表示が可能です。イオングループでは、ジャスコの一部店舗で実験したところ対象商品の売上が倍増する効果があり、2009年度からは関東圏の30店舗での導入を決定しました。

2008年度におけるデジタルサイネージの市場規模は、約650億円。テレビとウェブとPOPの性質をあわせもつために、テレビ離れが進む大手広告主の受け皿の一つとなりつつあります。液晶パネルの価格が下がったことも助けとなり、新しい可能性をもつ現場の媒体として普及が進んでいるのです。そのため協会も設立され、2015年までに1兆円市場をめざそうと元気です。

動画は、そこに込められる情報量が多いため、店頭POPにはうってつけです。とくに、化粧品や携帯電話のようにビジュアルに訴求したい商品は。しかし、多くの場合は一瞬、一瞥(いちべつ)のメディアですので、動くポスター、画面が変わるスウィングPOPというていどの存在感でしょうか。

ただ、なかには買い物客が近づくとお買い得情報を再生するタイプもありますし、お客様の性別や年齢を感知してターゲット別の情報を流したりすることも技術的には可能です。そうしたリアルな対応ができれば、まさに前記事で書いたように「もう一人の販売員」へと成長していけることでしょう。

また、CSの1チャンネルを借り切れば、全国チェーンの店頭にいっせいに映像情報を降らせることも可能になりますし、NTTのVPNを利用すればもっとてがるに全国動画ネットワークが構築できますね。もちろん、個人店舗でもコンテンツをUSBやDVDに保存して再生できますし、店頭を明るく演出する印象的なアイキャッチとなります。