2008年 10月の記事一覧
例えば、商品をきれいに撮った写真か、メインキャラクターか、あるいは商品使用時のベネフィットを表現するイメージシーンなど。単なるイメージ写真なら、著作権フリーの素材集が便利です。数千円で何十点もの写真が入手できます。
また、いまはデジタルカメラで手軽に撮影ができるのですから、すこし工夫を凝らし、場合によってはフォトレタッチソフトを使用して合成することなども可能です。こうして使い回しのきくメインビジュアルを一度つくってしまえば、さまざまな場所、媒体で何度も露出させることでターゲットに認識してもらえる環境が整うわけです。
ただ、最終的にはビジュアルはプロのデザイナーときちんと話し合って、提案してもらう部分です。マーケティングコンサルタントの意見を聞くのも結構ですが、彼らは営業マン出身かコンサルファームのエリートですので、表現には弱い場合が多い。第三者の意見として聞いておく程度にしておいてください。適当なデザイナーとのご縁がなければ、ご紹介することもできます。
さて次は、これも肝心なチラシのオファーです。無料サンプルなのか、無料見積もりなのか、あるいはお試し価格の提案なのか。雨の日来店割引、モニター募集、クーポン掲載(切り取ると財布に入るような)、お誕生日プレゼント、懸賞品抽選会などなど。この企画次第で、チラシの反応は大きく違ってくる重要な部分です。
<4へ続く>
「おしりだって洗って欲しい」で知られるコピーライターの中畑貴志さんは、新人コピーライターにコピーを書かせるときは、「早い話が…」を頭につけて考えるように指示するそうです。そうして何本も書かせて、最後の段階で「早い話が」を取り外すと使えるコピーが見つかるんだ、とおっしゃっています。
だいたいコピーとは、「どう書くか」よりも「何を書くか」が重要な場合がほとんどです。つまり、どんな言葉で表現するかではなく、どのことについて書くか、が問われるということです。美辞麗句の言葉選びでは、つい「言葉遊び」に終わりやすい。それよりも、顧客に伝えたい事柄は何と何か、を突き詰めることが重要なのです。
なんとなくいい感じ、のコピーは避けましょう。明快に顧客側の「メリット」を提示してください。よい商品だから買うべきだ、ではなく、この商品を買えばこうできる、楽になる、癒される、と訴えます。つまり、機能の先の利便性=ベネフィットを説くのです。
コピーのアプローチ方法にはいろいろありますが、問題提起型はぜひ、トライを。「なぜ、ムダなお金を払い続けるのですか?」的な問いかけです。心理的には、「いまならお得! 」よりも、「損していませんか? 」のほうが有効なのです。または、物語型。例「ひとつの失敗から開発は始まりました」。ニュース型なら「2008年、とうとう髪に優しいストレートパーマ」のように。
こうしたコピーやネーミング法は、書き始めればキリがありません。そのうえ、どうしても表現には科学的に計数化したり、標準化できない部分が残るものです。こうしたコピー&ネーミング作法をまとめてみないか、というお話しはいくつかいただいているので、後日、書籍の形でお届けできるかもしれません。
<3へ続く>
これは、顧問先にもよく問われる話題です。そこで今日から何回かに分けて、販促物をつくっていくチェックポイントを紹介していきたいと思います。
販促物、印刷物のなかでも、どちらの会社でも製作する機会の多いのはチラシでしょう。ここでは基本的に製造業、サービス業または流通業の、カタログを兼ねたチラシ=リーフレットを想定して説明します。
まず、サイズはA4程度が取り回しがいいでしょう。A4ペラ1枚なら、三つ折りにして封筒で送るのも容易です。A3を二つ折りにしたA4仕上がりでもいいですし、ページものにすることも配布方法によっては可です。
次に色数。最低でも片面は4色にしたいものです。内容がよければモノクロでもいいのです、なんて言う人もいますが、カラーが当たり前の時代にモノクロでは、まず手にとってもらうことすらできないのではないでしょうか。
肝心な内容。第一に、何のための印刷物かを明確にしてください。言い換えれば、最も訴求したい事柄は何か。チラシに限らず、せっかくつくる印刷物は、すべて顧客に行動を起こさせる仕掛けを載っけなければ意味がありません。
体裁としては、普通のカタログや当たり前のチラシではつまらないわけで、ニューズレターのようなものにしてもいいし、顧客の体験談、商品の意外な活用法を訴えるのもいい。スタッフの写真やイラストを入れて親近感、信頼性を醸成するという手もあります。
<2へ続く>
「少年は今日、心の中で少し家出した」
「ゴルフは、地球を相手にするスポーツだ」
「近道なんて、なかったぜ」 「大きな夢ほど絵になるね」
「人類は、アブナイものを作りすぎた」
小説や詩のような世界観を提示し、企業や商品のイメージ向上を図るアプローチ法です。主に大企業、それもアパレルや酒類、時計など、イメージが重要な業種に多く見られます。
実は、多くのクリエイターはこういう広告を作りたくてコピーライターやデザイナーになるのですね。広告賞をとるのも、こういうタイプの広告。他の表現に比べ、つくるのは至極かんたんです。
しかし、実売に結びつくのか?という疑問をもたれることも多く、ある程度以上の地歩を固めた企業、商品でなければ敷居の高い選択ともいえます。
一方、フェラガモやルイ・ヴィトンくらいになると逆にコピーやメッセージを記さない、デザインのみの広告やポスターになっていたりします。これは、どんな言葉も、もはやブランドイメージを高めるには饒舌すぎる、という判断なわけです。
中小企業がこのパターンを採用するにはどう考えればよいか。まず、イマイチなクリエイターに書かせると、どうしてもダサくなります。また、出稿費がもったいないとの批判も聞こえてくるでしょう。メインビジュアルなども、雰囲気のあるイケてる写真などを使いたいところ。
他のコピータイプに比べて扱いにくいことは事実ですが、例えば起業したばかりのセレクトショップやSPA、あるいは焼酎の蔵元などであれば、ぜひチャレンジしたい表現であります。貴社の商品性質をよくにらんだ上で、どうぞ採否を決めてください。
「ザ・~、新~、~宣言、~学、~考、~主義、~の数だけ~がある、○○する方法」
「プライスレス」「COKE IS IT」「連写一眼」「Fun to drive」
紋切り型、という言い方がありますが、昔からキャッチフレーズに使われがちなお決まりのパターンというべきものがあります。それは時に英語によるワンワードであったりもします。
製品の特性を短く、ひとことで端的に言い切ることができれば、ターゲットに憶えてもらうことも容易です。訴求すべきことを絞り込むことができたら、それをワンワードでずばっと表現できないか、検討する価値はあるわけです。
ワンワードによる表現のよいところは、印象や記憶に残りやすいことですが、なんとなく良いコピーを書いた気になってしまうネガティブもあります。“造語”を考え出して短く決めたのはいいが、何のことを言っているのか伝わらない、なんていう欠陥広告になってしまうケースもあるでしょう。
子どもがマネをしたり、流行語になったりするのもこのタイプのコピーに多く見られることですが、それは豊富な出稿が可能な大手企業の話であって、私たちは少ない露出で強い想起を促すために、力のあるワンワードを選び抜きたいものです。
「45%の人がペプシを選びました」
「だれでも年収3000万円稼ぐ方法」
「家の、88%は空気です」住宅メーカー
「あなたの会社が90日で儲かる」ビジネス書
「30日間の無料お試し期間」
統計や実証的な数字を盛り込んだ説得、またはオファーとなっているキャッチです。とにかく数字の持っている客観性、具体性に立脚した、いわば日本的あいまいさを排除した表現といえます。
イメージ広告は流してしまうお客様も、数字や金額が入っていると目を留めてくれる。どんな性質の数字なのか、どんな数字を約束してくれるのか、と。むしろ、私たちが数字を苦手としている心情を逆手に取ったようなアプローチ方法ですね。
作り手としては、製品やサービスにまつわるどの側面の数字を挙げて訴求すれば気を引くことができるのか、十分な検討が必要となります。見込み客にとって魅力的な数字の提示、またはオファーでなければならないのです。
ここで注意が必要なのは、情報の送り手にとって意味のある数字が、見込み客にとってもやはり意味を持つ数字であるとは限らないという現実。ここを顧みることは、彼我の情報格差に思いを致すこと、すなわち相手に思いやりを持つことに他なりません。
数字を提示しながらも、見込み客の心に刺さらなければ、効果のないイメージ広告と変わりない代物になってしまう。買う側の立場に立って表現を考えることが重要なのは、もちろんこの数字・実証型コピーに限りませんが。
「11月17日、ガラリと世の中が変わるかも」(ゲーム機)
「世界初! 2層DVD-RへのVRモード録画対応」(DVDレコーダ)
「1年中で一番うまい今、○○をご紹介」
「○○についての重要なお知らせです」
「ついに、新しい○が発売されました」
広告も、言ってみればニュースの一部なのですね。新しい情報、見る人の役に立つ情報を届けるわけですから、目立つことが“善”ということになる。で、遠慮なく目立ってしまいましょう、というのがこのパターンです。
ニュースというからには、これまでにない技術、機能、メリットがなければなりません。もしも、あなたの会社の製品がブレイクスルーを成し遂げたなら、このタイプの訴求方法を検討してください。
表現も、ストレートでいいのです。スピード感、現場の躍動感をそのまま伝える、記者のような気持ちで書くことです。また、あくまで「ニュース風」にパロディにしてしまうのもアリです。
ただ、注意が必要なのは客観的データがないのに「No.1」とか、「国内最大」、「最小・最軽量」などのワードを使ってはいけないというルールです。近年のコーポーレート・ガバナンス的にいえば、虚偽の表示はいっきに企業の信頼性を毀損してしまいます。
「世界初」、「販売高日本一」などの表示をしたいなら、根拠(調査結果、白書など)や出典(新聞、雑誌など)を示さなければなりません。それらをクリアして、インパクトのあるニュース的な、また報道的な表現が可能になるなら、あなたの製品が注目されるのはそれほどむずかしいことではないかもしれません。
4●注意喚起型
「○○を買うのは、これを読んでからにしてください」
「○○はどれも同じだと思いますか」
「靴屋さんが自分のために買う靴」
「忠告!! 甘いもの好きの方へ」
「こんな間違いをした犯人へ」
「ガソリン代を節約したいドライバーのみなさんへ」
そろそろ、我らが中小企業向けのコピーパターンになってきましたね。インパクトを第一に考え、目を留めてもらえるような過激な表現を試みるタイプです。
ショッキングなことや質問の投げかけなど、とにかくターゲットを刺激できる内容を考えてください。少々、誤解を招くときもあるかもしれませんが、あなたが製品やサービスに万全の自信を持っていれば、結局は感謝されるはずです。
こうした泥臭い表現を、大手企業は採りません。だから、胡散臭い反面、興味をそそることに成功すれば、目立つことができるわけです。ぜひ参考にしたいのは、映画業界のコピー。この業界では、コピーとは呼ばず、いまだに「惹句(じゃっく)」なんて呼んでいます。
「決して一人では見ないで…」とか「全米が泣いた…」なんて、ちょっとウソくさくもある。でも、やっぱり注意を引いたもの勝ちで、印象に残るホラ(失礼)を吹いたからこそ劇場に足を運ぶ人も出てくるわけです。
あなたの商品(サービス)と深く対話し、その商品を購入したことによって消費者が得られる利益に思いをいたし、そしてセンスのいいホラを思いきり吹いてみてください。
3●意外性/逆説型
「日本の道は、日々変わる」カーナビ
「右ききの人は、右の裏が汚れている」歯ブラシ
「わが子を非行少年にする十章」
「夏には、冷たいものがあたたかい」
「諸君。学校出たら、勉強しよう」新聞
「○○(企業名)はナンバー2です」レンタカー
あなたがじっくり考えてみることがなかった事象について、意外性を含む事実を、あるいは逆説的なモノの見方を提示するコピーです。バランス感覚を大切にする日本人は、自分の持てなかった視点を提示されると、一瞬、素直に驚いてしまいます。
その「驚き」という心の動きに、商品と企業をひも付けして記憶してもらおう、また異なる視点にたどり着いた企業のフトコロの深さを評価してもらおう、というコミュニケーション手法がこのコピーパターンです。
コピーライターは、企業の担当者が提示した資料やデータを咀嚼した上で、さらなる高みからの鳥瞰を試み、もう一つの「真理」に気づく。この気づきという一瞬のカタルシスを、メディアを介してもう一度ターゲットに共有してもらおう、と無意識のうちに考えて文案を書いていきます。
それでいて、表現内容が商品特長から離れてしまっていなければ合格点です。業界的には最も評価されるタイプの広告ができあがります。しかし、それが購買にストレートに寄与するかどうかは、わからない。
「広告賞などはいらない、商品が売れる広告が必要だ」という向きには(全員がそうですって?)、もう少し後でご紹介するコピーパターンが最適かもしれません。
2●シャレ、擬人型
「おカネは貸せませんが、知恵は貸します」(財テク誌)
「また、テトリストが増えてしまう」(ゲーム)
「イエスの生まれた日に、ノーとは言えない」
「ひとりでチンと暮らすのよ」(冷凍食品)
「スーツも、中3日なら型をこわさない」(百貨店)
「ウチの子にかぎって、かっこいい」(子供服)
カッコイイ!というのは人や世代によって価値観が分かれるところですが、オカシイ!というのはストライクゾーンが広かったりします。そこで、コピー・メッセージでも、笑いをとって憶えてもらおう、好感を持ってもらおう、というアプローチ方法が選択されます。
ですので、テレビCMなどは「面白くって、よくわかる」なんていうのが理想だと思うのですが、実際にはタレントさんのキャラクターに頼った感じの仕上がりが多いかもしれませんね。
このパターンのコピーワークでは、一見コトバ遊びのようにも受け取れますが、おもしろさの中にも、ちゃっかりと商品ベネフィットを織り込んでいたりして、消費者としては油断がなりません。
作り手としては、逆に言えば、商品のどの点に着目すれば愉快なシーンが醸成できるか、訴えたい特長をどの方向から表現すれば笑いを誘えるか、という視点から考えていくことになります。
不況時に限らず、いつの時代にも笑いは人の胸襟を開き、好感度を高めます。初対面の人と話すときも、ユーモアというステージから始まるとうまくいくではありませんか。
お客様とのコミュニケーションで大切なのは言葉、コピーです。広告やカタログ、ウェブサイトで自社製品の優位点を要領よく伝え、説得し、行動に移させるためには、効果的なコピーワークが不可欠です。
ずいぶん前にコピーブームというものがあったのですが、その頃と比べると現在は面白いコピーは少なくなっています。理由の一つは広告がエンタテインメントでなく、販売促進ツールであるとの認識が広まったこと。また一つには、流動的な性格のウェブサイトが一般的になったこと、などもあるでしょう。
さて、自社の製品を宣伝するときに自分でコピーを書いてしまえたら、話が早いですよね。大手代理店のコピーライターだって、芯を外してしまうことはよくあるわけですから、製品にいちばん詳しい自分が表現できれば、失敗しても納得がいく。あるいは、少なくとも書き手の気持ちはわかる。そして、プロに頼んで出てきたコピーを選別する技術は格段に向上するに違いありません。
そこで、今日から何回かに分けてコピーのパターンという側面からノウハウを勉強していきましょう。もちろん、分類に当てはまらないものもありますが、目についたコピーがどれに属するのかを検証するなどして、興味を深めていく助けとしてもらえたら幸いです。
1●生活提案型「そうだ、京都いこう」「なぜ、時計も着替えないの」「金曜日はワインを買う日」など
大企業が発信するコピーですね。以前に比べるとこのタイプのコピーは減りました。生活者の指向が多様化して、単純に提案してもなかなか乗ってくれないわけですね、さびしいことに。それぞれの業界のリーダー企業が用いるコピーのパターンです。
あなたの扱う製品が新規性が強く、新しい習慣を訴えないと市場が広がっていかない、という場合には、製品を使った新しい魅力的なライフスタイルをイメージし、それを言葉に置き換えてコピーとしてやる必要があるわけです。それが新市場を表すキーワードになってくれれば、成功に一歩近づくコミュニケーションへコピーが貢献したと言えるわけです。