2008年 11月の記事一覧
メーカーさん限定で、電話、メール、可能なら面談による、販売促進全般のご相談、コンサルティングを無料でお受けいたします。これは期間限定でして、2008年11月17日(月)から12月12日(金)までとなっています。
製造業、メーカーさん限定なのは、弓削がとくに好きな業態だからです。ニッポンを支えている基幹ビジネスでありながら、競争の激しさから十分な利幅がなかなかとれず、そのためにコンサルタントへの依頼に二の足を踏んでいる側面があることは、以前から肌で感じていました。
コンサルタントの知見を活用できないことで、成長のスピードにブレーキがかかるようでは大きな損失です。無料相談をお受けするのは、そうした会社さんが気軽にご連絡いただけることと、ここへ来ての景況感の悪化から何か有効な手立てを打つ必要性は感じていながら、フトコロはますます締め付けられている、という共通のご事情に応えて、なんとか支援の役に立ちたいという思いからです。
とくに継続してご契約を結んでいたたきたいという働きかけは一切しませんので、心おきなくご連絡いただければと思っています。もともとは、無料相談をしてもお礼メールや結果連絡メールの一本もくれない人が少なくなく、無料は結局お互いのためにならない、と考えていました。しかし、製造業に従事する人は非常に礼儀正しい方が多く、「製造業限定」ならやりがいもあるはずと思い、今回の募集となりました。
また、最近は本ブログでも「コンサル事例」の記事掲載が少なく、今回のご相談者から許可をいただいて掲載できるケースがあれば、という期待もあります。ご相談をご希望の方は、弓削徹オフィシャルサイト右肩のお問合わせメールから、ぜひお気軽にどうぞ。
各社さんとも、コンサルティングさせていただく期間は、開始から1回ないし1ヵ月程度までと考えています。できるだけ期間内で解決が見える形にしたいと思っています。また、業態・製品などによってご希望に添えない場合もありますので、あらかじめご了承ください。
→詳しくは、ウェブサイトのこのページをご覧ください。
売れる本をより売る、ということは書店にとっての利益であり、ふだんは黒衣(クロコ)である店員さんがカリスマ性を持つにいたっては彼らの自尊心も満たされます。当然、販促企画に現場のキーマンを最初から巻き込んでしまい、特別扱いを期待できるというメリットが出版社サイドにはあるわけです。
ところで、新宿・紀伊國屋書店や神保町・三省堂の週間ベストセラーランキングは特別な意味を持っています。このランキングを見て、その他の中小書店が注文を決めるのです。そのため、何店かのメジャー書店で平積みされるかどうかで、各書籍がベストセラーになるかどうかが決まると言っても過言ではありません。
この仕組みを上手に利用していたのが、銀座でダイエット食品を販売している会社の名物社長S藤氏です。彼は、自らの著作物が発売になると、主な書店に50冊ずつの購入注文を出します。すると、まとまった注文により主要書店でランキング入りする。それを真に受けた地方書店などが優先的に仕入れてよい場所に並べるので、結局全国で売れていく。やがて本当にランキング入りする、という筋書きです。
S藤氏のベストセラー乱発を受け、現在ではまとめての注文は各店のランキングに反映されなくなりました。しかし、この裏技で思い知らされるのは、減少したとはいえ全国の書店各店に1冊でも在庫が行き渡るほどに初版を刷られる書籍は少ない、という事実ですね。
全国のリアルな書店数は17,000店前後ありますが、一方で書籍の初版刷りは3,000部や5,000部というのが平均的なところ。どう逆立ちしても、1店舗に1冊回らない。それが、AMAZONに代表される「ロングテール」へつながっていくというわけです。
久しく活字離れといわれ、若者がケータイやPCの液晶画面を見ている時間が超長い現代、書籍はあまり売れていません。とくに、純文学。そんな中で生まれるベストセラーは、タレントの推奨やTV番組での紹介、CGM(コンシューマ・ジェネレイテッド・メディア)からの発信など、作品の質とは無関係に出現します。
注目度は「タイトルで決まる」ともいわれており、直近でも「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」、「頭がいい人、悪い人の話し方」、「下流社会」などのベストセラーが生まれました。過去を振り返っても、「脳内革命」、「バカの壁」など、インパクトを持つタイトル、あるいは内容を一言で説明できるようなシンプルな書籍が目に付きます。
また、「ケータイ小説」などという今様のジャンルも出てきています。たとえ内容がありがちで都合のいいストーリーでも、ターゲットはふだん小説を読まない層ですので、現代風の味付けさえあれば(例えば援助交際やいじめ、エイズ、ホストなど)じゅうぶんウケるわけです。
実際のところ、2007年度上半期ベストセラー単行本フィクション部門のベスト10のうち、4冊がケータイ小説です。(1位「赤い糸」、2位「もしもキミが。」、4位「今でもキミを。」、9位「クリアネス」:トーハン調べ)
ところで、現在の書籍におけるプロモーションでは、書店員を巻き込んで販売促進を進める、という手法が一般的になりつつあります。例えば、小説の“簡易見本刷り”を彼らに配り、感想や評価を聞くことによってターゲットを変えたり、帯コピーに反映させたり、店頭POPの企画を立てたりする、という具合。タレントが「泣きました」とする宣伝コピーもインパクトを持ちますが、多くの書籍を評価しているであろう書店員の「一気に読みました」も、強い影響力を持つというわけです。
中国の上海では、デパート出店ラッシュが起きており、もう商品も日本とあまり変わりません。しかし、つまらないモノでも売れる。これは家にまだモノがないからで、日本の高度経済成長期と同じです。
一方、今の日本は状況が違いますね。良いものなら売れた時代から、良いものでも上手に価値を伝えなければソニーの製品でも売れない時代です。そこで差が出るのがマーケティング、ということになるわけです。
技術力なら、日立はノーベル賞に近い研究者がごろごろいるといいます。しかし、市場で強いのは、松下やシャープ、カシオ。まず“どういう技術を極めるか”という段階で差がついているようで、これもマーケティング。
さらに、商品開発力、デザイン力です。同じ機能なのに、片方は指名買いされ、片方は棚でホコリをかぶる。製品のパフォーマンスが同じなら、その差はマーケティングです。
マーケティングは20世紀の米国において、あの世界恐慌の中で体系化されてきたといいます。まったくモノが売れない時代に、「顧客の求めるものを提供する以外にない」と企業は考えはじめたわけです。
しかし、MBA(経営学修士)においても、「どうしたら顧客を増やせるか」などの具体的な授業はないに等しい。経験だけで解決がはかれる法務や人事、会計とは異なるむずかしさが、マーケティングにはあるわけで、エリートがくちばしをつっこむとロクな結果にはならないたくさんの例を、私は見てきました。
だからこそ、マーケティング学のように学術としてのマーケティングではなく、私たち中小企業の実践すべき、現実的かつ有効なマーケティングを追求していきたいのです。
さて、マーケティングとは何か。
お偉い経済学者は言った。「マーケティングの目的は営業を不要にすることだ」(ピーター・ドラッカー)
HPの創業一族は言った。「マーケティングはあまりに重要なので、マーケティング部門だけに任せておけない」(デビッド・パッカード)
マーケティングの神様は言った。「マーケティングとは、本物の顧客価値を生み出すための技術だ(生産物のうまい処理法を見つけるための技術ではない)」(フィリップ・コトラー)
「世の中、全部マーケティングだ。」こちらは、以前に弓削徹が書いた、ある公募キャンペーンのメインコピー。
私は、マーケティングとは何ですか?どのように定義できますか?といった質問を受けると、こう答えるようにしている。
「マーケティングとは、企業と顧客を結ぶ関係のすべて」
これくらいの方がすっきりしませんか?
私はマーケティングを勉強し、そして、忘れるようにしています。マーケティングの基礎がなければ危うい。しかし、それにとらわれていては前進がない、のです。
たとえば、有効と思われるマーケティング調査のひとつにテスト・マーケティングがあります。これは地方の1都市を選んで実際に商品を発売し、広告も流して販売実績をみるもの。このやり方なら、見栄もうそもなく、顧客が実際に財布を開くかどうかがよくわかります。
静岡や広島などは、日本全体と年齢分布が近似である地方としてよく選ばれます。販売動向が芳しくなければ、あっさりと発売を中止してしまうわけです。
ただ、ある意味、これは資金力のある大企業の手法ですね。私は、企業の大小を問わず、とにかく市場に投入してみることをお勧めします。とにかく売ってみて、レジがチンと鳴るかどうかを試してしまうのです。
ドッグイヤーといわれる現在、どの企業も調査に多大なカネと人と時間をかけていられるわけではありません。いまやマーケティング調査好きの外資系企業も試行錯誤中であるわけで、例えば一度日本市場に参入しながら撤退したあと、山一のスタッフを吸い上げて有利にもう一度再参入したものの、いまはそれも縮小しているメリルリンチ証券をみてもわかりますね。
日本人のマネー運用性向や市場規模ぐらいはきちんと調査してもよかったのに、と思わざるを得ないけれど。いや、調査はしたけれど、分析に失敗したのかな。
ソニー創業者の盛田昭夫氏は「マーケットの調査は必要なかった。大衆は何が可能なのかを知らない。それを知っているのはわれわれのほうだ」と語っています。
また、出版業界では、「読者の声を採り入れはじめた雑誌は早晩、休刊になる」という言い伝え?があります。(「休刊」とは業界用語で実質的な廃刊のこと)
「消費者に意見を聞くなど、バックミラーを見ながらクルマを走らせるようなものだ」とは、ロバート・ラッツというマーケッタの言葉。
こちらは、ゼロックス社の事例。まだ湿式コピー機しかなかった時代、現在では当たり前の、しかしコストの高かった乾式コピーが受け入れられるかをゼロックス社はマーケティング調査しました。
その結果は圧倒的に「安価な湿式コピーをやめてまで買いたくはない」という反応でした。しかし、ゼロックス社はあえてこの調査結果を無視し、乾式コピー機を発売しました。その判断が正しかったかどうかは、いまや問題にもなりません。
今度は国内の事例。花王がおこなった「健康エコナクッキングオイル」のマーケティング調査で、買いたいと答えた人は10%にも達しませんでした。しかし、花王はこの結果とは関係なく発売し、商品は大ヒット。被験者は、新しい商品をうまく理解できなかったのです。
1991年のアメリカ映画「BIG」の中で、何も知らずに玩具メーカーの社員になってしまったトム・ハンクス(本当はまだ子供)が、社内で出くわした社長の言葉を聞き、何気なく質問します。「マーケティング・リサーチって、何です?」。リサーチの結果に納得がいかない社長は皮肉と受け取り、嘆息。「私も教えて欲しいよ」 と。
以前は、日本の企業もよくカネをかけてマーケティング調査をしたものです。とくに外資系企業が好むため、よいマーケティング手法と捉えられているようです。しかし、その結果の有効性は非常に疑わしい。
例えば、“グルイン”。ターゲット層のモニター被験者を数人呼び、グループ・インタビューを行うものですが、主婦やOLなど女性同士の場合、お互いが妙に牽制し合い、見栄やうそを含んだ発言が支配的になったりします。
「この商品が10,000円だったら買いますか?」との質問に「ええ、これだけ便利ならぜひ買いたいわ」と答えるけれど、実際は買いやしないのです。ウチは家計に余裕があってよ、と言いたいだけだったりするのですね。あるいはインタビュアーの性別や年齢によっても結果は違ってくる。もしもインタビュアーがイケメンなら主婦も財布を開くふりをするのです。
「多少、高くてもリサイクル素材の商品を買いたい」と70%が答え、「リサイクル素材ではなく安価な商品を買いたい」と30%の人が答えたとします。しかし、実際に割高な商品を買う人は70%もいるでしょうか。
少し前、スターバックスの店頭で簡単なアンケート調査を受けました。しかし、質問者はたったいまスターバックス・ラテを淹れてくれた人。お客さんは店頭のサービスが良くないとか、テイストがいまいちだとか、床にゴミが落ちている、などといえるでしょうか。私は、いえませんよ。
最後に、これをどうやってお客様の目に触れさせるか。
例えば、営業マンが手で持っていく。新聞に折り込む、雑誌広告として出稿する、その他にもタウン誌・PR誌に出稿する、DMに封入する、ウェブ上に掲載する、ポスティングする、大通りで手配りするなど、さまざまな方法があります。
さらに、紹介キャンペーンを行ってお客様をセールスマンにしてしまう、カラオケボックスや喫茶店、レンタルビデオショップ、不動産屋のカウンター、レジ脇に置いてもらう、ファミレスのラック置き、宅配ピザ店の配達時の手渡し、駅貼りする、などあらゆる媒体を検討してください。
また、あなたが経営者なら、制作の段階から営業マンの意見や知見などを取り入れて参加型制作物とすることで、内容の濃いものにし、また営業方のいいわけを封じることもできるかもしれません。
実際に印刷を発注する際は、必ず合い見積もりをとってください。最近では少なくなっていますが、たまに新しく顧問先となった会社さんでも印刷屋さんにボラれていたことが発覚したりします。印刷物が多い会社では、適正価格になって浮いた印刷代金で私の顧問料が払えてしまうというケースも少なくありませんので、ご注意を。
<この項おわり>