ドイツ製?中国製?
記事投稿日2011年03月20日日曜日
投稿者:ドイツ技研 Doitsu Giken カテゴリー: General
「ダンピング」。今、特に太陽電池メーカーは、
聞きたくない言葉であろう。この「投売り」が
恐れられる時が来てしまった。欧米では既に
価格戦争が始まっている。その裏には、中国
製品がある。その対処法を探ってみる。
図1は、欧米で変動している太陽電池モジュール(パネル)の小売
価格を示す。当初、2004年頃まで下がった価格は、一時、持ち
直したが、最近、また降下している。
図1: 欧米市場における太陽電池モジュールの小売価格
縦軸の数値は公称最大出力(W)当たりのドルまたはユーロ価格 Solarbuzz[1]
太陽電池モジュールの価格調査を行っているSolarbuzz[1]によれば、
欧米の小売値は、ここ1年で約10%安くなった。今、1 ワット当たり、
400円から600円弱と言う換算になる。
VDI nachrichten(ドイツ技術者協会新聞)[2]は、世界市場の太陽
電池を生産する能力は、中国が3分の1近くを占めていると報告している。
図2: 太陽電池セルの製造工程 ドイツSchott Solar[2]
図2に示す太陽電池セルというのは、太陽光を電気エネルギーに
変換する素子。この15 cm角くらいの板(半導体)を繋ぎ合わすと、
電流や電圧が得られる。それを一枚のパネルに、防水性や耐候性
高く、組み込んだものが太陽電池モジュールである。
と言うことは、太陽電池セルのメーカーと、それをパネルに組み込む
モジュールメーカーは、同一である必要はない。ここで、性能保証上、
問題が起きる。太陽電池セルというのは、その製造者(国)を見分ける
のが難しいらしい。まして、それが密閉されたパネルに組み込まれて
いれば、心臓部となるセルがドイツ製か、中国製か、分からなくなる。
ドイツのSchott Solar社では、最近、二重ガラスモジュール
(double-glass module)の性能を30年まで保証することにした[2]。
信頼性を売る作戦である。独自のセルを独自のパネルに組み込み、
性能を長期間保証して、太陽電池がダンピングにならないようにして
いるのかもしれない。もしそうなら、価格を下げようというより、維持
しようとする工夫がドイツ人らしい。
情報源
[1] Solarbuzz: http://www.solarbuzz.com/Moduleprices.htm
[2] VDI nachrichten 25.09.2009
革新、必見、ドイツ技研
丸岡康人(Yasuto Maruoka)
Tel.: 042-629-0336
www.doitsugiken.com
- 記事投稿者情報 ≫ ドイツ技研 Doitsu Giken
- この記事へ ≫ お問い合わせ
- この記事のタグ ≫