日本の2025年度まで日本経済研究センターの中期予測によると、

・輸出の伸び悩みで経常収支は16.7兆円の赤字

・社会保障費の増加で財政収支は26.7兆円の赤字

名目国内総生産(GDP)比では11年に1.6%の黒字から

25年度には3.4%の赤字になり、国際収支と財政収支の「双子の赤字」になると予測する。

この双子の赤字は1980年代の米国の最悪期と並ぶ水準という。


今は衆院選挙戦の真最中だが、

議員候補者のどれだけの人が日本の将来を考えて演説しているのだろうか?

目先の甘い事しか耳に入って来ない事は、将来が本当に危ぶまれる。


8年増収増益が続いた日本マクドナルドが今期は既存店売上が低迷しており、

同社ではこの原因を20~30代の食生活が変わって来たことにあるという。

単身者が多い若い年代は家で安く済ませる合理的な食志向を強めている為、

外食への欲求が低下して来ている。

原因は景気低迷による若者の収入の低下にあり、2025年に向かって続くのではないか。


今年も残すところ3週間、スーパーの値下げ合戦が活発になっている。

日経MJのアンケート調査によると、

主要スーパー26社の35%が年末に向け、率先して値下げすると回答している。

冬のボーナスは3年ぶりに前年を割り込む見通しで、

家計は節約志向を強めクリスマス・お正月直前まで消費は伸びないと予測する。

しかし、売上確保を計る為値下げ合戦に乗ってしまうと、

最大の稼ぎ時が稼げない結果に陥る危険性がある。


日経MJ、2012年ヒット商品番付による食品は

・マルちゃん正麺、塩こうじ - 商品の本質追求

・メッツコーラ、黒ビール、コンビニチルド和菓子 - シニア層の健康志向

・ザクとうふ、焼肉牛丼 - すき間を狙った異質化商品

この中に価格競争に陥らないヒントがあり、

メーカーも小売りもこのキーワードで消費を喚起して行く事が重要になって来る。


百貨店の専門店で伸びて来た柿安ダイニングは、

和菓子ショップ「口福堂」を強化し、売上を2018年には2倍に増やす計画。

口福堂はお萩や団子、どら焼を主に販売し、保存料や人口甘味料を使わず、

自然な味わいと健康をPRし、作り立てにこだわっている。

和菓子業界は1995年の生産額4700億円が11年には3800億円と縮小しているが、

シニア層の拡大と味の本質や健康志向にこだわることでチャンスは大きい。


又、生鮮食品においても、味・鮮度の追求が始まっている。

冷凍肉や魚を美味しく食べるには、

・冷凍する段階で急速冷凍する、

・冷凍する直前までゆっくり冷却し、そこからもう一段冷す「過冷却法」、

・又冷凍しないで鮮度を保つ為に、雪のようなきめ細かい氷と塩水が混じった

 「スラリーアイス」を使うと魚の内部まですぐに冷える事で鮮度を維持する。


売上は伸びない時代の中で利益率を高める為に、小売り各社はPB商品開発に重点を置く。

・サッポロビールはセブン&アイと始めてPBビールを発売した。

 製造技術はあっても商品が売れなくては、ブランドにこだわっていられない。

 セブン&アイHDはPB売上を2015年には2倍の1兆円に拡大する計画で、

 食品メーカーも生き残りをかけてこれに参画する。


PB開発が活発になる中で、PB=低価格のイメージはまだ根強い。

メーカー品と同等品質であれば、価格は割安というのが一般的だが、

消費の2極化が大きくなってくる中で、同じPB商品で両極をカバーする事は出来ない。

PB商品に付いても、上記の本質、健康志向を外さない商品開発が大切になっている。

同質化が進むスーパーにとって、PB商品はMD政策のカギになり、

PBを成功させることが自店の異質化と利益率を左右する。



今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


その他、興味のある方は: http://www.asahi-kikaku.net