日本経済が7~9月期に3四半期ぶりにマイナス成長になった。

政府は発表した国内総生産(GDP)は実質で、

前期比0.9%減、年率で3.5%減となった。

又、10~12月期の見通しについても、

主要エコノミストの間では年率0.9%減と2四半期連続のマイナス成長と見ている。

ただ来年1月以降はプラス成長に戻るとの予測が出ている。


デフレの勝ち組とされて来た外食大手の上期決算(4~9月期)は、

・ゼンショー経常利益前年同期比マイナス31%

・松屋フーズ  〃      マイナス82%

・王将フードサービス  〃  マイナス0.4%

と業績に異変が起きている。


又、年末商戦を迎えた米国の小売業は、

売上高は前年比3~4%増と期待されていたが、

「財政の崖」問題やハリケーン「サンディ」の悪影響もあり、

最大手のウォルマート等は早くも値引きの前倒しをすると報じている。


国内小売り各社も年末商戦に向かって、値下げ合戦の様相を呈して来た。

・イオン系食品スーパー17社は次週20日から毎週火曜セールを統一し、

 NB商品等を従来より約2割安の価格で販売する。

 値下げの原資は17社が統一することで、売上1兆5千億の規模を生かして、

 一括仕入で原価を引き下げる。

 このボリュームメリットは他社では真似る事が出来ない有利さを出した。


・西友は15日から1100品目、ダイエーは17日から2000品目を追加値下げする。

 各社は夏以降大規模な値下げキャンペーンを実施して来たが、

 9月までの既存店売上は前年を下回っており、再度値下げで勝負をする。


この厳しい小売り環境の中、西日本最大の百貨店阪急梅田本店が、

7年に及ぶ改装を経て21日に全面開業する。

運営するH2Oの椙岡会長談によると

・百貨店の不振はGMSなど異業態に引きずられ価格競争に走り、

 百貨店としての特徴が見えなくなった事。

・従って、儲かると判断した衣料品や食品しか売らないようになり、

 百貨店の面白みを失ってしまった。

・新しい梅田本店はモノを買わなくても行きたくなるような百貨店。

 感動や学び、驚きがある場所にする。


業態の差別化戦略が、

2極化が大きくなりつつある消費者にどこまで受け入れられるか。


・コンビニローソンは生鮮食品の販売を強化する方針のもとに

 従来より棚段を1段多い8段ゴンドラを拡大し、

 日配やカット野菜などをまとめ陳列してまとめ買いを狙う。

 更にチルド棚にはカゴ状の付き出し什器を使用し、関連販売を強化する。


消費の2極化はメーカーの売れ筋にも変化があり、

・健康志向を追い風に機能性ヨーグルトが好調に売れている。

 明治HDは主力機能性ヨーグルト「R-1」の生産設備を増強する。

 新たに設けるのは、R-1やLB21などのラインを増設し、

 これらのヨーグルトは今後も需要は旺盛と判断している。


縮小する国内消費の中で、製販問わず売れるもの、伸びている物は

従来のワクを破って取り入れ、1点でも多く買ってもらう作戦だ。


その中で、13年度は出店競争が加速する様相だ。

・イオンは首都圏で小型ディスカント店「アコレ」を現在の3倍の100店に増やす。

・ダイエーもDS「ビッグA」を16年度までに4割増の250店に増やす。

・西友は首都圏、名古屋、大阪圏を中心に13年から毎年30店のペースで出店する。

その他ローカルのDSや100円ショップなど出店を加速する計画があり、

日本のデフレはより一層長引くと予想されて来た。


これまでの出店競争の中で、既存店の生き残りは大きな課題になっている。

景気の後退、可処分所得の落ち込み、2極化消費の拡大、

大手小売りは低価格政策を進め、2極化で増えつつある消費層を取り込む戦略だ。

ローカルスーパーはこれと正面から競争する事は出来ない。


自店の強いカテゴリー、一歩先の有利な商品など価値感を高める政策で

消費者に自店の特徴を印象づけられる店と売場づくりで生き残りを図る。

大手のマネをする時代は終わり、独自性が勝負の時代になっている。



今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


その他、興味のある方は: http://www.asahi-kikaku.net