「街角景気」は2ヶ月ぶりに悪化

内閣府が発表した8月の景気ウオッチャー調査は、

経済活動を映す現状判断指数が前月比0.6ポイント低い43.6となり

2ヶ月ぶるに悪化した。

2~3カ月後を占う先行き判断指数は前月より1.3ポイント低い43.6で

4ヶ月連続で悪化している。


その中で、中小企業の景況感の厳しさが際立って来た。

内閣府が発表した7~9月の法人企業景気予測調査では

大企業の景気判断指数が改善した半面、中小企業は横這いが続いた。

業績は中小の製造業に限ると、売上高は2.1%減、経常利益は9.1%落ち込んだと発表。

中国経済の落ち込みや海外メーカーとの価格競争も厳しくなっているのが原因としている。


2012年の都道府県毎の最低賃金は、全国平均で前年より12円上がり749円になった。

上昇巾は2年ぶりに10円を越え、急激な引き上げは中小企業の経営を圧迫しかねない。

政府が掲げる「全国最低賃金800円」は中小企業の稼ぐ力が課題になる。


街角景気を敏感に感じている消費者は、再び「生活防衛」意識が出て来ているようだ。

高額品の売れ行きに一服感が出て、食品や日用品には価格により敏感に反応する

購買活動が目立ち始めた中で、各スーパーは価格戦略を見直し始めている。

先行して西友やイオンが値下げを発表し、それに対してスーパー各社にも広がる傾向が出ている。


・ダイエーは低価格PB商品の販売比率を現在の2倍に当たる2割に高める。

 今年度中にPBの取扱いを大幅に増やした新型店を60店展開し、新店に広げる。

 提携のイオンPBも取り入れ、PB比率を上げて競合他社の値下げ攻勢に対抗する。

 イトーヨカ堂のPB比率は10%以下で、イオンも10数%と見られている。


・外食ラーメン店「日高屋」は7月の既存店売上が昨年8月以来のマイナスになり、

 急きょ生ビール等の値下げを実施し、8月は前年比を回復させた。


・ヤオコーは2013年度を目途に定番商品の低価格戦略に取り組む。

 豆腐や牛乳などの高頻度のPB商品を中心に通常価格を引き下げる。

 11年度にこうした低価格戦略を実施したテスト店は

 初めは客単価が前年を下回ったが、その後は販売点数が伸び、売上高は増えたという。

 ヤオコーは鮮度にこだわった生鮮や惣菜の強化で集客をして来たが、

 マーケットに合せた価格対応も必要と説明している。


価格志向が高まるにつれて、NB商品や生鮮品の価格競争は厳しさが増して来ると予想され、

それに対してPB商品で対応するスーパーもあるが、

中小スーパーはPB商品が少ない中、価格比較が出来にくい惣菜強化は有効手段になる。

又、買い物便利性を求めて異業種の協力関係やコラボ出店も増えそうだ。


・マツモトキヨシはスーパーオオクワとの連携を強化し、

 お互いのPB商品の供給を拡大し、利益率を高める政策を強化する。

 マツモトキヨシは今回の連携を通じて、卸売り事業の拡大につなげる。


・マツキヨ子会社のぱぱすがローソンとフランチャイズ契約を結んで展開する。

 ぱぱすは通常のドラッグより生活雑貨や食品の取扱いが厚いのが特徴で

 低価格政策のドラッグぱぱすと食品のローソン100を組み合わせて

 相乗効果を狙う出店を拡大する。


コンビニ各社の業績が好調に推移している。

セブン&アイの上期においては、イトーヨカ堂やベニマルが苦戦する中、

セブンイレブンの既存店は増収を確保し、最高益を出している。

その他コンビニ大手のローソン、ファミリーマートも最高益を更新している。


消費者に価格志向が強まって来るに従い、

スーパー各社の値下げ競争が広がり、利益の下押し要因になる。

NB商品を中心にした値下げに対して、利益をどこで確保するのか。

部門間・商品別の荒利ミックス計画の見直しと合せ、コストダウン計画も要求される。

コストダウンと言うと人件費や管理経費ダウンが挙げられるが、

在庫日数の削減も重要課題であり、見過ごされている。

又、メーカーとのPB商品開発が話題になっているが、

惣菜はそのものが店のPBであり、今後スーパーの重要部門になって来る。



今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


その他、興味のある方は: http://www.asahi-kikaku.net