小売り54社の第一四半期(3~5月)、経常益7%増

上場小売り企業の発表では賢調な個人消費を背景に経常益が7%増えた。

中でも好調なのがコンビニで、3~5月期では最高益を出した企業が多い。

コンビニは品揃えを強化している生鮮や惣菜が成長を牽引していると発表。


セブンイレブンによると、来店客のうち、50歳以上の比率が5年前の約2割から

前期には3割に上昇し、女性客も増えている。

・セブンで納豆3Pが¥78や冷凍餃子5個¥100など、

 PB商品の価格はスーパーの特売価格と同様になっており、

 コンビニは「生鮮・惣菜」「低価格」を強化し、スーパーからお客を奪って好調。

・ファミリーマートの2月期決算では客数に占める女性の比率が45%に高まった。

 この2年で女性比率が上がり、総菜やサラダは2桁の売上増になっている。


夏のボーナスは前年比4.7%減と伸びがないが、夏のレジャー消費は好調のようだ。

JTBの7~9月の関西発TDR行きツアー予約は6割増、

首都圏発USJ行きのツアーも2~3割増、他の旅行会社の予約も2桁の増と発表。

自粛ムードが強かった昨年だったが、10年と比較しても7%と伸びている。

8月末までの国内旅行者は前年比2.3%増、海外は4.6%増と共に過去最高の見通し。


又、1日のボーナスサンデーは消費動向にメリハリが出ていたようだ、

・夏のバーゲンを遅らせた百貨店の多くは前年比減収、

・家電店は薄型テレビの不振やエアコンは昨年の反動で売上不振

・一方、エコカー補助金で好調なハイブリッドカーは通常の3倍の売れ行き

消費者の節約志向は変わっておらず、自分の楽しみには思い切り良く消費する。


今後の消費動向を先取りする為に、企業は投資を活発化させている。

・シルバー世帯の増で夕食宅配に向け、さっぽろ生協は宅配専用工場を新設。

 同事業の売上倍増を狙う。又コープこうべも生産体制を1日1万食へ強化する。

・首都圏スーパーのサミットは既存店の競争力強化のために改装投資を2倍に増やす。

・ファミリーマートは地震などの災害時対応能力を高めるため、

 中食商品を扱う定温センターを中心に今後3年で10カ所増設する。

企業は生き残りのため、今伸びている事業、今後伸びると予想出来る事業には積極投資をする。


成長のためには投資と合せてMD改革・改善が欠かせない。

・陳列の基本は商品の顔を見せて並べることは食品に限らず全般に共通だが、

 北野エース、東京スカイツリー店では売場名「カレーの本棚」で

 商品を本棚のように商品の側面を見せて陳列している。

 見にくく、買いにくい売場が、それがかえって見えない物を見たいと

 言う思いを引き出すと同社では語っている。


・サークルKは惣菜PB商品について、食べる時に皿に移さず食べられる

 新開発トレー入商品を発売。

 従来のスタンドパック包装からトレーにフィルムの接着包装で

 売場に立てて陳列することで、目に付きやすくした。


・マクドナルドはチキン関連商品を強化している。

 ¥100のジューシーチキンから、¥390のトマトビッグチキンまで揃えて、

 牛肉からチキン惣菜強化によって客数の増加を狙う。


スーパーマーケットの再編に対応して、食品卸3社が合併統合。

・高知県大手卸しの旭食品、石川県のカナカン、青森県の丸大堀内の

 3社が来年2月を目途に共同持ち株会社設立で合意した。

 3社の統合によって、物流機能は全国広くカバー出来るようになり、

 今後、地方スーパーの再編を睨んで競争力を高める。


・旧菱食を含め4社が統合した三菱食品は中間物流の枠を超えた生産から消費まで

 を結ぶ中期計画を発表。

 食品メーカーには原料調達から加工機能の支援、

 小売り企業には消費者のライフスタイル分析から売場づくりを支援。

 今後の問屋は商社機能を取り込み、物流機能から知流機能(造語)へ脱問屋を目指している。


消費者の求める商品・売場・サービスは高齢化の進展に伴い内容、レベルが変わって来ている。

過去の生活意識や成功に捉われず、

今後の生活価値観を築いて行く事は個人も企業も同じ宿命を負っている。



今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


その他、興味のある方は: http://www.asahi-kikaku.net