原材料高を背景にスーパーの食品・日用品の価格が値上りしている。

日本経済新聞社が主要70品目の2月価格を調査したところ、

4割に当たる28品目が値上がりしていた。

・バター(1.1%増)

・薄力小麦粉(1.04%増)

・シャンプー(18.1%増)

・レギュラーコーヒー(1.04%増)・・・

反対にペットウーロン茶やカレールーなど値下りしている商品もあるが、

原油高の基調が続いている事や、大豆・トウモロコシ相場の高騰が影響している。

只、輸入小麦は今月から政府売り渡し価格は平均15%引き下げられたが、

製品への影響は微妙なところだ。

今後、円高修正や原油価格高が続くようになると物価上昇の要因となり心配される。


そのような環境下、メーカーや小売店各社の収益確保の戦略が活発になってきた。

・焼肉チェーン各社はユッケ問題があったが、米国・カナダ産の牛肉輸入を

 政府が月齢20ヶ月以下から30カ月以内に緩和するとの見通しから、

 今期の出店を積極的に増やす計画している。


・スーパー各社も今期の出店が過去最多の計画が出ており、

 セブン&アイのコンビニは1350店の出店で600店の退店、

 スーパーのイトーヨーカ堂は8店の出店、1店の退店を計画。

 そのた、食品スーパーのライフやマルエツも2桁出店を計画している。


・小売り各社の出店は国内だけでなく、海外出店も活発になっており、

 各社の13年2月期には小売業60社の内、3割近くが最高益を見込む等

 プラス効果が出て来ている。

 特に高島屋の前期決算では、国内18店舗の営業利益69億円の約半分以上を

 シンガポール1店で35億円を稼いでいる。


異業態の取り込みや商品・売場変更で今後の成長を狙う企業の取り組みは

・Jフロントリテイリングは専門店のパルコに33%出資し、

 百貨店のイメージにとらわれず、今後の成長分野を取り込む計画。


・セルフ式うどん店で成長している「はなまる」は

 昼食にはセルフうどんを中心に販売し、夜にはしゃぶしゃぶ専門店に変更する。

 セルフうどんだけでは夕食客層を取り込むのは難しいと考えての変身だ。


・スーパー大手のセブン&アイとイオンは生鮮PBの拡大で収益強化を狙う。

 イオンは12年度中に生鮮PBを現在の2倍の600点に増やす。

 トップバリューブランドで米国産オレンジや豪州産玉ネギ、チリ産サーモンを導入する。

 セブン&アイもフィリピン産バナナのPBや国産生鮮の「顔の見える食品」を拡大する。


・首都圏コンビニのスリーエフは鮮度追求の青果の販売を強化する。

 市場から仕入れた青果をスーパーの売場感覚で展開し、価格もスーパー価格で販売する。

 今年、神奈川県から始め、東京~埼玉と首都圏全店に拡大する。


コスト削減投資を更に進めることで、節電や省力化で収益力強化を図る動きは

・オーケーは店舗の冷蔵ケースなどの電力使用量を押さえるセンサーを取り付け、

 外気温と冷蔵温度調整をするシステムを導入し、店全体で15%の節電を見込む。


・ヤオコーは1店舗で319個あるスポットライトのハロゲン球を

 消費電力は低くても光と寿命が約2倍のセラメタへ変更することで

 年間170万円の節電を見込む。


・カップラーメン¥59、¥79の第三ビールなどのディスカウントPBで

 成長するトライアルは商品管理のシステムを中国山東省に設け、

 運用する人員も中国や台湾など外国人を使用し、低コストオペレーションを実現した。


・豆腐¥18、コロッケ¥18を販売している岐阜のバローは

 自前の情報・物流システムとPB商品開発体制を整えることで2桁の売上、利益増を達成。

 
今後は新興国需要の増大による食品原材料の不足感と相場の上昇、

国力ダウンによる円安傾向、石油資源の枯渇など小売業の経営圧迫要因が迫っている。

店舗の黒字経営を最優先し、

・伸びる商品へ積極的なラインロビング、

・管理部門の仕組みを見直すコスト削減投資、

・オペレーションのムダ削減に取り組む生産性アップ、

小売りサービス業は消費者利益を最優先した中での取り組みが急がれている。



今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


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