小売り各社の3~8月期決算が出そろって来た。

3月の東日本大震災が原発災害を含めてまだ復興の目途さえ立っていない。

・スーパー各社の業績は総じて好調

 節電対策商品や東北地方の産物を積極的にPRしたことは

 消費者の「絆消費」を取りこんで売上は堅調だった。

 それとスーパー各社の価格競争が出来にくい環境が出来、

 特売回数や安売り価格が減って、利益率を押し上げた事が大きい。


・コンビニ各社は震災を機に主婦層らの客層が増えて好調

 一時的な物不足によって、今までコンビニを利用していなかった客層が

 コンビニに来店したことがあり、

 その後においても各社は惣菜の強化を打ち出し、客層拡大を狙っている。


・百貨店全体では減収、減益

 震災後の節約意識は百貨店の日常品から離れている品揃えは敬遠された。

 しかし、美術・宝飾・貴金属品などの高額品の売れ行きが6月から伸びており、

 各社の業績を押し上げていると報じられているが、

 これは日常生活とは異なり、世界的な不況と円高による株安に対して

 余裕資金がそちらに回って来たと見られている。


スーパー、コンビニ各社が好調と言っても、その中で不振な企業や店舗は沢山ある。

理由はいろいろあるが、総じて売場や商品に変化がない店は取り残されている。

環境が変わる中で、従来と同じやり方で商売を続け、

消費者は商品に対する品質、価値、情報を要望していることに答えようとしていない。

自店のことに目が行き、消費者の利益を優先していない店は共通して不振を囲っている。


又、放射能汚染問題からスーパーで牛肉の売れ行きが落ち込み、

各店の牛肉売場は縮小で元気がない。

しかし、年末に向かってこのままでは店も消費者も問題が残る訳で、

牛肉不安心理を取り除く努力が求められていると思うが、その情報があまり見られないのは心配。

BSE問題と同様に全頭検査と情報公開が必須条件になると思うのだが。


又、精肉売場でトレー不使用で真空パックの商品が一部のスーパーで目立って来た。

一番のメリットは商品鮮度保持で消費期間が4日以上に伸びること、

そして、包装資材費が約40%削減可能であることが大きい。

消費者は震災を機に環境問題に関心が高まり、太陽熱発電と同様にゴミ問題、

CO2削減に取り組む姿勢に注目している。


海外の話題として中国の小売業で外資系小売店の閉鎖が相次いでいると報じられた。

今年に入って成長が鈍化して来たとは言え、9%の経済成長をしている中国だが

外資系の韓国Eマート、仏カルフール、台湾太平百貨店など大手小売店舗が閉鎖している。

日本ではイトーヨーカ堂は15年前に出店してから、近年は大手が挙って進出して来たが、

中国でさえも出店すれば売れる時代は終わりつつあるようだ。


日本の出店場所は限られているが、中国ではその比ではなく出店箇所は沢山ある。

小売店は競合店が近くにあっても、その店舗と戦って自店の方が有利と思えば出店し、

競合店は退店する構図になっている。

従って、カテゴリーの中で自店の商品特徴、強さが一番になることを狙わない限り

安定成長は出来ない事は、製造業にとっても同じことと言える。


ダイエーが今秋以降に出店スピードを上げ、今期18店を出すと報じられた。

出店の内容はDSのビッグエーが中心となり、今後の成長に柱に位置付ける。

ダイエー創業精神のディスカウントがミッションになっているが、

消費者はどのように受け止めていくだろうか。

今後30年以上に渡って、国内市場は少子高齢化が進み人口・消費は縮小していく。

その中で販売点数を伸ばすことはどれだけ可能なのか、

商品品質・単価を改善していくことがより重要だと思うのは私だけだろうか?



今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


その他、興味のある方は: http://www.asahi-kikaku.net