「国内景気・動き出す消費」

円安・株高を好感して消費者は財布のヒモを緩め、企業は生産を増やし始めた。

アベノミクスによる心理的効果が効いて来る事を先取りしようと

スーパー各社の2013年度出店計画は4割増と意欲的だ。

主要20社の新規出店計画は172店。

・イオンやセブン&アイの総合スーパーは出店を2倍に増やし、

・ライフコーポレーションは15店舗、ヤオコーは10店舗を計画、

しかし、日経調査の回答企業の8割は既存店売上が前年を下回っており、

各社は出店を拡大する一方、不振店の閉鎖を進める計画だ。


日経調査の主要業種・4~6月産業景気予測では

・百貨店、コンビニは薄日が差しているが、

・ドラッグ、外食産業は曇

・スーパーは小雨

消費者心理は改善して来たが、生鮮食品を含め低価格志向は強く、

値下げリスクによる業績への影響は避けられないとの見方が多い。


日本百貨店協会発表の3月全国百貨店売上は既存店ベースで3.9%増、

7年ぶりの3カ月連続の増加となり、景気回復の恩恵を受けているが、

中国四国地方の百貨店は前年比2.7%減と地方への普及は遅れている。


アベノミクス効果は外食産業の高級店だけだったが、一部に効果が表れ始めた。

・13年連続増益となったハイデン日高では深夜の売上が伸びて来た。

・長崎チャンポンのリンガーハットでは、最近の夕食ではいいものを食べたい

 と言う消費者が増えて来た為、黒豚を使用したメニューの投入を始める予定。


日本マクドナルドはハンバーガー¥100を¥120に、

チーズバーガーを¥120から¥150に値上げすると発表。

同社では代表的な定番商品は固定客の購入比率が高く、

値上げしても販売への影響は限定的と予想している。

主力商品は値上げしてもその他商品とセット価格でお得感を出し、

客単価の下落を止め、客数アップを図る計画だ。


外食各社が品質の高いもの、味の良いものへと単価アップを図る中で、

牛丼大手は値下げ戦略を取っているのは対照的だ。

今回は吉野家が主導して値下げしているが、

松屋フーズは競合が少ない「トンカツ店」を25店舗出店する。

米や牛肉など原材料の値上りに対しこれ以上の値下げには無理があり、

異業種で成長を図る計画だ。


消費を盛り上げるには消費者の所得拡大が必至の中で、

流通各社が加盟するUAゼンセンは春の労使交渉の妥結状況まとめ、

3月末で295組合が妥結した結果、2.06%の賃上げとなった。

セブン&アイやニトリの先行した賃上げが中堅中小各社の底上げにつながり、

製造業と合せて消費者の心理にプラスに働くことにつながると期待する。


成長戦略で規制緩和を進める政府に対し、

食品業界は調味料や飲料で賞味期間を長くする動きが広がっている。

包装容器の改良や賞味期限の正確な見直しによって、

期限を従来より長く設定する。

食品流通の3分の1ルールによる過剰な食品廃棄を削減する商慣行を見直し、

消費者への影響等を検証し、今年度中にも対策をまとめる予定。


15年以上続いて来たデフレによって、

小売り・外食業界に安くなければ売れないと言う意識が底辺にあり、

より品質の良い・美味しいものへ及び腰になっている一面が大きい。


少子高齢化が進む国内で成長を図る為には、

より単価アップ出来る高品質商品を開発して行く事が不可欠であり、

消費者の意識変革を進める為にも政府の成長戦略の役割りは大きい。



今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


その他、興味のある方は: http://www.asahi-kikaku.net