スーパーの上期(3~8月期)は厳しい業績発表が続いた。

・イオンリテール、営業利益前年同期比マイナス57%、42億円

・イトーヨーカ堂、営業利益前年同期比マイナス88%、7億円

・ダイエー、営業利益赤字15億円

・ユニー、営業利益前年同期比マイナス17%、70億円

・ライフコーポレーション、営業利益前年同期比マイナス46.8%、31億円

・マルエツ、営業利益前年同期比マイナス59.4%、16億円

東日本震災後の恩恵を受けたスーパー各社は、

12年上期の減収減益決算から下期に向かって、

今期の営業方針の軌道修正を打ち出して来ている。


1、低価格訴求

 最大手のイオンの格安PB「ベストプライス」の更に1~2割の値下げ。

 ELPの西友は13年中には約1000品目を5%の値下げなど

 スーパー各社は低価格PBを中心に値下げ方針を打ち出している。


2、専門店化

・イオンは惣菜専門店オリジン東秀が進める「デリカワールド」

 自転車専門店の「イオンバイク」や酒類専門店「イオンリカー」など

 新たに14分野をイオンやグループ各社に取り入れる。


・食品スーパーの惣菜では手作りのお好み焼やお萩、おにぎりが広まっており、

 店内調理のお惣菜計り売りが夕方の主婦層に人気が出ている。

 スーパーの惣菜は手軽に作れる冷凍食品や調理済加工品が多いが、

 店内調理の惣菜は地域の味付け、素材の美味しさで人気が出ている。

 又、生鮮3品を原料にした焼き物、揚げ物、煮物やサラダは

 鮮度と味訴求で専門店化の流れに乗ってお客様の評価は上がって来ている。


専門店化の流れはスーパーだけではなく

・コンビニの店内「カフェ」でドリップコーヒーを提供する動きが広まっている。

 スリーエフは13年春までに現在の2倍に拡大する。

 ミニストップは全2200店のコーヒードリップマシンを刷新する。

 その他、ファミマやローソンなど同業も100円台の店内コーヒーに力を入れる。


・FRのロイヤルホストは素材の質の高さや調理技術を追求し、

 今回、「イタリアンフェア」で老舗チーズ工房の「パルミジャーノレジャーノ」

 や最高峰のパルマ産生ハムや本場の素材にこだわった。

 その他セット物にこだわり、注文比率は52%と前回より11ポイント上がった。


3、利便性

・MV西日本は医薬品売場の拡大に力を入れる。

 各店に配置する有資格者の採用を強化し、15年までに全店に広げる。

 DrSが食品の品揃えを拡大し、食品スーパーの顧客を奪っているのに対抗し、

 DrSの顧客を取り込もうとする戦略だ。


4、効率化

・西友は関東と長野県内のスーパー200店で精肉の定番品について

 自動補充システムを導入し、発注担当者の業務効率化や売り逃しリスク削減を狙う。

 担当者の思いこみや感覚に頼った発注ミスを無くし、発注精度アップを図る。

・その他、イオンの精肉センター加工の拡大などインストア作業の軽減と効率化の波は

 コスト削減の対策としてスーパー各社が力を入れて来た。


5、M&A

・M&A助言のレコフ集計によると、2012年4~9月の消費関連企業のM&Aは

 前年同期に比べ51%も増えた。

 小売関連ではアークスがジョイスを50億円で買収、

 Jフロントりテリングがパルコを423億円で買収

 イオンが英テスコの日本法人テスコジャパンを1円で買収など

 店舗段階で利益が出ている内に、買収・統合が進んで行く。


6、人材育成

 不況が長引き、きれいに陳列していても売れない時代、

 ユニクロの柳井社長は新聞報道の中で

「日本経済は苦しいだろうが、チャンス。伸びるところは伸びる」と語っている。

 そのキーマンはパートを含む全員経営。

 特にスーパーは地域密着の店舗運営がキーポイントであり、

 パート一人ひとりから戦力として活用出来る人財育成が重要になっている。


不況期こそマネジメントの時代。

消費者に対しては「低価格」と「専門店化」品質の2極化で攻めていくが、

守りにおいては人財を育成しながら、コスト削減の仕組みづくりを一歩ずつ

計って行く事が不況時代の生き残り条件になる。
 


今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


その他、興味のある方は: http://www.asahi-kikaku.net