2011年 7月の記事一覧

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11年07月31日 12時33分53秒
Posted by: asahikikaku
放射性セシウムを含む稲わらを肉牛に与えていた問題で、

牛肉の売れ行きに大きな影響が出ており、

小売りの情報開示や安全対策に混乱が生じています。

福島県、宮城県でセシウムを含んだ稲わらを肉牛に与えていた事実が公表され、

肉牛の全頭検査をする県はその周辺県の茨城、山形県でも実施すると公表された。


小売りではイオンが肉牛の全頭検査を実施すると発表したが、

放射線量を検査出来る場所や機械の台数は限られ、

中小のスーパーや小売店で対応することは難しい。

これは牛肉だけでなく、2011年産の新米について放射能の影響がどうなのか、

この問題は今後更に大きな広がりを見ることになりそうだ。


その中、大手小売り各社はコンビニを中心に、東北地方へ大量出店を決めている。

・ミニストップは震災前の計画比で3倍の100店を出店、

・ファミリーマートは当初計画の5倍の85店を出店、

・ヤマダ電機は前年の2倍程度の15~20店を出店、

5月の百貨店やスーパーの売上高は東北6県が前年同月比で1.5%増と

又、コンビニは10.9%増と高い伸び率を示した。

震災後の地元商店街の受け皿として大手チェーンがチャンスとして捉え、

復興需要に対する投資拡大を計画している。


セブン&アイの鈴木会長は、震災はむしろ消費に火を付けたと話している。

消費者は消費に対し敏感になっており、買い物に対する考え方も変わって来た。

これまでは価格や量が重視されてきたが、震災後は質が第一、価格は第二に

変わっていると話された。

そして、この危機的状況で企業がどんな対応をしてきたのか、

消費者は身を持って知り企業へのロイヤリティが強まっている、とも話しています。



消費者は震災の後遺症で商品が棚からなくなった時の不安感を初めて知った人も多く、

安いから沢山買う、高いから買い控えると言う意識は変わっています。

・自分にとって本当に必要な商品かどうか、

・自分はなぜ、この商品を選ぶのか、

・自分に必要な数量はいくつか、

自分や家族にとって良いことは何か、と同時に社会・環境にとって良いことは何か、

と消費者は消費の価値観を見直ししています。


スーパーの店づくりや惣菜の商品づくりにおいて

・消費者に喜んでもらえる価値ある店・商品とは何か

その本質の部分を追求していく、そんな姿勢が重要だと痛感しています。


今週の1品 * スーパーのお惣菜、弁当、寿司


その他、興味のある方は: http://www.asahi-kikaku.net
11年07月24日 11時44分10秒
Posted by: asahikikaku
先週のニュースに大手スーパーのイオンやセブンホールディング

はディスカント(DS)店の出店を拡大することが発表されました。

又外食チェーンにおいても関西のフレンドリーは

サラダバー付きステーキセットを3割の値下げや

居酒屋でも割安感を出す為に主力メニューを据え置き中味を充実させる。

同社は2010年まで4年連続で営業赤字となっており、

客数アップを狙って売上・利益確保が出来る体制づくりを目指す。

値下げによる客数アップ対策は小売り・外食の宝の小槌になるのでしょうか?


その中、マクドナルドをV字回復させた原田社長の戦略が大変参考になります。

2004年、業績悪化のマクドナルドのCEOに就任された原田氏は

客数アップ策の前に実施したことは

「QSCを高めること以外はやらなくても良い」と指示をだして

・Q品質、Sサービス、C清潔を店で徹底することを訴えました。

QSCは物販業において全ての土台になると訴え、

QSCが不十分な中において、どんな販促も効果を上げることは出来ない。


・マクドナルドは「何屋」なのか。

業績が不振になると、何か売れる商品はないかと本業以外の商品を探すことがするが、

マクドナルドの特徴、らしさはアメリカンスタイルのハンバーガーを売ることにあると

原田社長は訴えました。

そしてQSCが徹底されることで、従業員のモラルも上がり、

その後の¥100バーガー、テキサスバーガーとヒットして客数増、売上増と

7期連続の増収を続けています。

スーパーにおいても各店の違いが見えにくくなっており、

今後、「スーパーの何屋」を求めるのかが重要になっています。


小売り売上の伸びが止まる中、スーパー各社のコストダウン対策として

加工センターによる生鮮、惣菜の集中加工処理を進めています。

中部地区のヤマナカは2012年農産の加工センターを計画、

2014年に惣菜のセンターを計画すると発表しています。

生鮮、惣菜を集中加工することで、店舗作業を削減してコストダウンが出来、

売場のチャンスロスをなくして売上につなげることを狙っています。


しかしセンター加工のデメリットもあり、

消費者が店舗を選ぶ第一は商品ですから、センター加工した商品が

店舗加工した商品よりQSCが上でなければなりません。

店舗加工の鮮度にセンター加工の鮮度は勝てません。

しかし、店舗加工は加工技術にバラツキが出る懸念があり、

各店舗の加工技術を向上させる為の従業員教育はセンター加工に勝つ必須条件になります。


厚労省の2010年賃金構造基本調査によると

小売業の平均年収は451万7300円と全産業平均の466万よりも低い。

これは小売業の低生産性から来ており、

小売業の賃金改訂は優秀な人材を確保する為の重要な課題であり、

そのためには生産性の改善策が欠かせない状況となっています。


生鮮・惣菜の集中加工センターと店舗従業員教育は

これからのスーパーマーケットの大きな課題です。


今週の1品  *スーパーの店頭: 惣菜、米飯、寿司

この関連情報は - http://www.asahi-kikaku.net
11年07月17日 15時56分27秒
Posted by: asahikikaku
先週、内閣府が発表した6月の消費者心理を表す

消費者態度指数は35.3と前月比1.1ポイント上昇し、

震災後2ヶ月連続で改善してきた。

しかし、震災前の41.2ポイントに比べるとまだ低い。


そのような消費環境下、小売り各社は新たな顧客獲得政策を打ち出している。

・コンビニ業界では、セブンイレブンが揚げ立てトンカツなどの店内調理を拡充する。

 サークルKサンクス、ローソンはタレ付焼き鳥を店内製造仕様で販売し、

 夕方の女性客にPRする。

・高齢者に優しい店づくりを目指して、

 スーパーマルエツは従業員に視覚や聴覚の低下を疑似体験する研修を行い、

 高齢者の接客に力を入れる。

・エコスは高齢者が好む商品の陳列位置を低くするなど買い易さを追求、

 その他、東武ストアなど自宅までの配送サービスを充実させる。

・東急ストア二子玉川店ではCATVを活用して、毎週月水金に店長や店員が

 売場を撮影してお買い得品情報を放送をしている。

 又、惣菜小分けコーナーを設置し、サラダや煮物、米飯も180g以下の少量弁当

 販売を始め、女性客や単身者の人気を得ている。

・ライフコーポレーションは5月に開店した新店で、オフィスビルに直結した

 売場を生かして昼は弁当の特設コーナーを設置し、

 午後3時からは夕食向けのお惣菜100g¥158の均一コーナーに売場替えをする。

・マクドナルドは顧客情報を分析し、

 一人ひとりの顧客に対してコーヒーやハンバーガーの割引クーポンの発行など、

 不特定多数の顧客から個人を対象に販促を始めた。


外部与件は一刻と変わっている。

今、業績が安定しているからと言って、現状維持は退歩につながる。

2011年は市場転換の大きな年になろうとしている。

 
梅雨明け以降の猛暑に対して、国民は節電に協力しており節約意識は高い。

しかし、家庭のエアコン温度を下げないで火を使うのは大変だから、

スーパーの惣菜を買って来ようと思う人が増えて来るのは当然だろう。

その際に消費者は購入することを良く吟味し、選別することになるだろう。

・家族人数に合せて余分のものまで買わない。

・家庭で調理した方が良いか、惣菜を購入した方がお得か。

・同じブランド、品質の商品だったらいつ買ったらお得なのか。・・・

従って、販売者はより商品づくりに、販促方法に工夫が必要になっている。


大手スーパーイオンはディスカント(DS)店のビッグを新会社として設立し、

13年度には5千億を狙うと発表。

セブンホールディングはDSの「ザ・プライス」の出店を再開する。

節約消費の高まりに合せ、スーパーの価格競争は益々激しくなりそうだが、

ローカルスーパーとしてこれを機会にどんな店づくりをするのかを明確にして、

一歩ずつ差別化の方向に進み、自店らしさを打ち出して行く時が来ている。

その核となる商品は惣菜になると言っても良い。


今週の1品  *スーパーの店頭: 惣菜、米飯、寿司


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11年07月10日 12時11分38秒
Posted by: asahikikaku
大手小売り各社の3~5月期決算発表がありました。

売上においてはコンビニを除く各社の業績は減収だが、

営業利益は百貨店を除いて増益の決算となった。

3月の震災を受けて被災した企業や節約意識の高まりを受けて

売上にはブレーキがかかったが、メーカー側の被災から商品の供給が減り

特売回数も減ったことが粗利率の向上につながり、増益になったようだ。

しかし、日常の特売が少ない百貨店や専門店の粗利率にはつながらなかった。

経産省が5月の商業販売統計においては、

卸売業は2.3%の売上増であったが、小売業では1.3%減となった。


9月以降からは国内経済の上向きが予想されているが、

原発問題が未解決の中で不透明の部分が多く、

食品メーカー・小売り・外食の各社は生き残りをかけて対策を打っている。


・国産原料や製造を国外から調達や移管 -- カルビー、キリンビバレッジ

・仕入れ、配送、包材などの一元化や回数の削減によるコストダウン

 -- マクドナルド、すかいらーく、吉野家

・メニュー開発、製造方法の開発による需要開拓 -- 味の素、ケンタッキー


スーパーにおいては生鮮食品の産地直送に力を入れて来た。

・イオンは生鮮の産直品をPBとの位置付け、このPB比率を3%から

 11年には10%、13年には40%へと拡大計画。

・イトーヨーカ堂は顔の見える野菜など減農薬野菜の産直などの比率を

 前年度より品目数で1割、売上で2割増を目指す

・その他、いなげやも産直野菜コーナーの拡大、エコスは青果物の契約農家を増やす、

 ローソンは今年契約農業法人からの野菜販売店を2500店に拡大する。

・くら寿司は全国の漁業協同組合と長期仕入れ契約を結び、

 旬の鮮魚を使用した「ご当地フェア」などの販促に取り入れる。

 九州五島列島の天然真鯛や平目、6月には高知のキンメダイを直送品として販売した。


又、大手の優良企業同士が手を結んでコスト削減や商品開発に取り組むニュースがあり、

・キリンとアサヒは物流部門で協業する。

 製品の共同配送や空容器の共同回収などでコスト削減を目指す

・北海道のアークスと青森のユニバースの経営統合

 どちらのスーパーも地域一番店同士が合併し、今後の拡大成長を目指す。


消費減少の日本において、

・お客様から見える部分 -- 売場、商品、販売方法、サービス・・・

・お客様から見えない部分 -- 仕入れ、物流、製造作業・・・


お客様から見える部分は他店を見に行っても、お客様として買い物に行っても

何が良いか悪いかが分かり、良いことはすぐモデリングすることが出来る。

しかし、お客様から見えない部分はモデリングすることは出来ない。

今後の生き残りはモデリング出来ないところをいかに効率化、

コストダウンして売場・商品に生かすことが出来るかが重要と思います。


日本の小売業、スーパーはモデリングすることに優れている為、

見えない部分の仕組みの改善にはあまり力を入れて来なかったのが事実。

見える部分は似ていても、見えない部分のやり方が異なり、

そこに利益の源泉が隠れています。

しかしそれは地味であり、すぐ売上に結び付かない黒子の部分です。

今週の1品  *スーパーの店頭: 惣菜、米飯、寿司


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11年07月03日 11時36分56秒
Posted by: asahikikaku
総務省から2010年国勢調査の速報結果が発表された。

・日本の人口は12569万人 (05年比 -207万人)

 (在留期間3カ月以上の外国人を除く)

・15歳未満の人口割合13.2% (05年比 -0.5%)

・65歳以上の人口割合23.1% (05年比 +3.0%)

・労働力人口が5年で300万人の減少

・女性の労働力率49.1% (05年比 +0.3%)

・男性の労働力率73.4% (05年比 -1.9%)

・1人暮らしの世帯数は1588万世帯(子供のいる世帯1588万世帯)

日本の高齢化率は世界トップで、次の2015年には団塊世帯が65歳以上になり

社会保障費は25%増加し、151兆円に達すると発表されている。


65歳以上の老年人口比率は地方が深刻で

・秋田県 30.2%、 島根県 29.2%、 山形県 28.9%

又、高齢化の低い県は

・沖縄県 17%、 愛知県 20.2%、 東京・神奈川 20.4%

国内で営業する小売業、スーパーはこの現実に対して、

店舗の規模、品揃え、サイズ、容量、価格帯等の政策変更が求められている。

特に自店のある県や市町村の人口動態について確認し、

商品構成について見直すことが必要になっている。 


7月に入って節電15%対策が動き始めました。

・自動車産業や市役所関係の一部の土日営業で平日休業体制、

・その他スーパーやメーカーのサマータイムの導入、

・節電効果のあるLED電球、ゴーヤやヘチマなど拡充、

・食品メーカーはクール効果を狙ったチョコやドーナツの販売・・・


又、営業においてもサマータイムに対して

・スーパーにおいて午後4時からの惣菜を中心にしたタイムサービスの強化、

 夏日に調理が難しい揚げ物、焼き物おつまみ品を拡充する。

・食品スーパー以外の大手も「朝市」の開始で早朝来店を促す、

・飲食業界では16:00からの「早割」で来店客向けサービス実施、

平日(木金)休業に対しては

・平日行楽に対してのサービス業の割引きセール

 金曜日の家族向け販促チラシの発行

・ビジネス街や駅前のサービス業の土日営業に変更、

 地域の企業の休日に合せて営業日を変更する。

・食品スーパーのファミリーメニューを平日休業に合せて展開、

 その分、土日の製造・陳列数の調整する。

皆さんの店舗では営業日・時間の変更に対して、どれだけ対策を実施していますか。


又、1カ月後には夏休みがやって来ます。

今年の天侯は昨年のような猛暑日はないとしても、

東北の震災、原発事故、又円高の後遺症を引き継いで、

「安近長」の関西以南、東南アジア地域の夏休み旅行予約が増えているようです。

関東以北の小売業やサービス業、観光産業は苦しい立場にありますが、

岩手平泉町中尊寺の世界遺産登録や青森新幹線など

東北観光を皆さんで応援致しましょう。




今週の1品  *スーパーの店頭: 惣菜、米飯、寿司


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